公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
Multidrug and toxin extrusion MATEは、尿細管上皮細胞の刷子縁膜におけるカチオン性小分子の排出に主要なトランスポータであること、さらに他の臓器においても発現が認められることが明らかにされてきた。本研究では、Mate1ノックアウトマウスを用いて内因性化合物クレアチニンの体内動態解析を行った。Mate1(-/-)マウスにおいて血漿クレアチニンが有意に高い値を示した。血中尿素窒素はMate1(+/+)とMate1(-/-)マウスの間に有意な差は認められず、また放射標識されたイヌリンの腎クリアランスにおいてもMate1(+/+)、Mate1(+/-)およびMate1(-/-)マウスの間に有意な差は認められなかった。また、Mate1(-/-)マウスにおける放射標識されたクレアチニンの分泌クリアランスはMate1(+/+)マウスと比較して約80 %程度低下した。したがって、クレアチニンの尿細管分泌にMATE1が主要な役割を果たすことが明らかとなった。MATE1の機能低下により糸球体ろ過速度の変動を伴わずクレアチニンの腎排泄が低下することで、糸球体ろ過速度の過小評価を引き起こすことが示唆された。今後シミュレーターを用いて内因性化合物を指標としたカチオン性薬物の動態シミュレーションを実施する予定である。
2: おおむね順調に進展している
実験計画は概ね順調に進んでいる。
今年度得られた研究成果を論文にまとめるとともに、体内動態データを使用してシミュレーションを実施する予定である。
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Drug Metab Pharmacokinet
巻: in press ページ: in press
Biochem Biophys Res Commun
巻: 432 ページ: 689-694
10.1016/j.bbrc.2013.01.131
Eur J Pharmacol
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