公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
我々のこれまでの研究から、不整脈を頻発する拡張型心筋症(DCM)モデルマウスの心筋には、K電流密度の著しく低い巨大細胞が出現していることが判明し、これらが不整脈発現に関与する可能性が示唆された。本研究では、心筋組織中の細胞間の構造・機能的不均一性がどのように病態に関与するか理解するために、(1) 病態モデルにおける構造的不均一性の解析、(2) 病態モデルにおける機能的不均一性の解析(活動電位、チャネル電流、筋小胞体Ca2+レベル)を行い、シミュレーションによる不整脈の再現に向けた計測結果を得ることを計画した。2013年度は、病態モデル動物心臓における構造的不均一性および機能的不均一性に関して以下の検討を行った。不整脈モデル(遺伝性DCMモデルマウス)を用い(1) 単離細胞を用いた細胞個々のパラメータ(サイズ、横行小管(T管)構造、電気的性質およびCa2+調節能)を計測し、それらの数値の分布を明らかにした。さらに(2)心筋組織中の細胞のデータ(サイズ、細胞形状解析、活動電位の形状、Ca2+調節能)を計測した。心筋のサイズ、構造、分布については、客観的な画像解析法を共同研究者が開発した。同時に、各種チャネル等の抗体染色を行い、構造的不均一性とチャネル蛋白との関係を現在解析中である。これらの検討の結果、DCMモデルでは、心臓内の部位により、不均一性が異なること、さらに薬物投与により、細胞間不均一性が顕著に改善されることが判明した。また、睡眠時無呼吸症候群モデル動物の心機能についても現在検討中である。
2: おおむね順調に進展している
心筋組織内の細胞間不均一性の解析は、染色試薬および解析法の検討により、順調に進んでいる。
今後、さらに検討を進めると共に、シミュレーションによる再現実験を進めていきたい。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)
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