研究領域 | 新興国の政治と経済発展の相互作用パターンの解明 |
研究課題/領域番号 |
26101505
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
中井 遼 立教大学, 法学部, 助教 (10546328)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 比較政治学 / 政治経済学 / 東欧 / ラトヴィア / ラトビア / 経済格差 |
研究実績の概要 |
当初は,新規EU加盟諸国である東欧諸国を対象としてその政治的環境と経済成長(特に外資誘導を軸とする)について検討する予定であった。ところが予備的な計量分析を実施したところ,従来頻繁に指摘されてきた外資流入の経済成長に対する正の効果は,EU加盟前においてこそ確認されたものの,EU加盟以降には統計的有意性をもって見いだすことができなかった。新自由主義的な改革の速度が政治経済的な重要課題であったのは既に過去の事であり,むしろ今日の当該地域における政治経済的挑戦は,そのような自由主義的改革によってもたらされた歪みにこそある。
具体的にはその経済的不平等の拡大や,安定した経済成長を確立できない事が分析課題として設定される必要がある。この点,EU加盟後の個別事例としては,ラトヴィアがその高成長と高失業,ならびにEU随一の経済格差などの点で非常に特徴的であることがわかり,同国へフォーカスした研究と全体の計量分析をあわせた分析に着手した。2014年総選挙時には現地での世論調査も実施した。
26年度は新聞資料などに依拠しつつ,政治的党派性および政治腐敗を独立変数の軸に据えた質的研究を進め,年度末には日本語ではあるもののワーキングペーパーを完成させた。本ペーパーは東欧諸国全体の計量分析とラトヴィア事例研究を組み合わせたものであるが,種々の現象を複数の要因で説明しようとする側面が依然強いので,今後はより論旨が明確になるよう,分析の焦点を絞っていく必要があるものと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度のため刊行物等の成果は出ていないものの,研究全体の方向性を定める程度には進捗した。予備的な計量分析も終えており,どのような関係が主張できあるいはできないのかは,すでに明らかである。
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今後の研究の推進方策 |
領域内の研究回答において議論した限り,東欧全体の一般性を追求するよりも,むしろ個別事例の細部を深く見ることの方が,有意義な成果になると思われた。そのため,残り一年は東欧全体の分析は行わず,むしろ1国に絞ってその経済統計等の変動と政治的環境の関係を分析することとしたい。
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