研究領域 | 法と人間科学 |
研究課題/領域番号 |
26101702
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
高橋 征仁 山口大学, 人文学部, 教授 (60260676)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 反抗期 / 法規範 / 法的自律性 / テストステロン |
研究実績の概要 |
たんなる服従や同調にとどまらない人間の社会性の複雑さや巧妙さを理解するためには、ヒトの<反抗期>を科学的に解明することが不可欠であると考えられる。というのも、思春期から青年期にかけて、<第2次反抗期>が生じ、法意識の揺らぎや権威への反抗が生じてくる現象は、ほぼ普遍的に観察されるからである。この期間を通じて、規範に統制された子ども時代から規範を構成する成人期への転換が行われ、法的自律性が獲得されると考えられる。 本研究ではこうした観点から、青年期の性的発達に着目し、それが規範意識や逸脱行動、リスク認知などとどのようにかかわっているのかを明らかにしようとしてきた。 平成26年度の研究においては、サッカーの練習試合(高校生男子)やビデオゲーム(大学生男子)、引越し作業(成人男子)の3種類の対象者200名に対して、作業前後のテストステロン濃度と規範意識やリスク認知の変化を測定した。高校生男子のグループでは、サッカーの試合の勝敗によってテストステロン濃度が変化することを確認できた。これら画規範意識やリスク認知とどうかかわるのかは、現在分析中である。 またテストステロンの分泌による意識や行動の変化は、緊急避難行動においても典型的に現れると考えられる。そこで東日本大震災の大規模データを用いて、緊急避難行動がヒューリスティックな判断によるものであること、リスクの方向性に性差が見られることなどを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サッカーの練習試合でも高校生の唾液中テストステロン濃度に変化が生じることを明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
青少年の時代的変化を文化的ニッチ構築による「自己家畜化」現象として理解したい。そうした時代的変化と、青年期の発達的変化をテストステロンと社会的環境の関係から、一貫して説明することを目指している。
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