研究領域 | 生命分子システムにおける動的秩序形成と高次機能発現 |
研究課題/領域番号 |
26102509
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 健 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (00303602)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 小胞輸送 / 低分子量GTPase / COPII / 輸送小胞 / 小胞体 |
研究実績の概要 |
真核細胞内の小胞輸送における小胞形成は、コートタンパク質が低分子量GTPaseによる調節を受けながら連結・重合していくのを駆動力としている。この反応において、コートタンパク質が時空間的に制御されながら膜上に集合し、秩序だって重合しながら膜を変形させていった後に膜をくびり切り、特定の物質を詰め込んだ膜小胞が形成されるという一連の過程については不明な点が多く残されている。本研究では、出芽酵母の小胞体における小胞(COPII小胞)形成反応に注目し、反応に関わる因子群が膜上で繰り広げる動的な秩序形成の原理について解析を行う。 平成26年度は、COPII小胞形成時のコートタンパク質のダイナミクスを解析するために、顕微鏡下に形成させた人工脂質平面膜上にCOPII小胞形成反応を再現して可視化する実験系の拡張を行った。これまでに、COPII小胞の形成に必要な低分子量GTPaseであるSar1、ヌクレオチド交換因子Sec12、COPIIコートのサブユニットである、Sec23/24、およびSec13/31について蛍光標識を行い、これらが試験管内再構成系においてCOPII小胞形成能を持つことを確認している。これらの因子を人工脂質平面膜上での実験系に移行したところ、Sar1およびSec12は蛍光標識の有無に関わらず活性を示したものの、Sec23/24、およびSec13/31については蛍光標識を行うことにより膜上でのクラスター形成の効率が著しく低下していた。今後、クラスター形成を阻害しないような蛍光標識法の検討を行う。また、これまでに、COPII小胞形成の足場形成に関与することが示唆されているSec16について、ダイナミクス解析に向けて機能ドメインの解析を行ったところ、Sec16のN末端領域がSar1のGTPase活性に作用することによりCOPIIコートのアセンブリーを促進することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画において設定した今年度に達成すべき項目は、ほぼ全てについて着手し、次年度の研究計画につながる成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度において実験条件を整えた、COPII小胞形成反応を人工脂質平面膜系で可視化する実験系を用いて、COPII小胞形成のダイナミクス解析を行う。また、初年度にSec16の機能ドメイン解析により得られた情報を元に、小胞体出口部位の形成制御機構について詳細な解析を行う。
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