公募研究
Chinese Hamster Ovary(CHO)細胞由来sHspを用いて研究を進めた。CHO細胞由来Hsp27(HspB1)の配列において他のHsp27においてリン酸化が確認されているS15をアスパラギン酸に置換したリン酸化模倣体S15Dを構築した。S15DはWild Typeと比較して低温で、クエン酸合成酵素の凝集を抑制し、オリゴマーの解離が確認された。この結果から、動物細胞ではリン酸化のよりsHspのシャペロンとしての機能が活性化されることが明らかになった。また、解離する温度条件でのHPLCにおいてsHspのピークが消失するという問題があったが、エチレングリコールをバッファーに加えることによりピークが確認された。この結果は、Hsp27はオリゴマーが解離することにより疎水表面が露出し、カラムの担体と疎水相互作用することでピークが消失したことを示している。また、Hsp27の結晶化も試みたが、構造解析可能な結晶を得ることはできていない。in vivoでのリン酸化部位の特定を試みたが、これも成功していない。一方、これまでに報告されたsHspの多くは、非ストレス条件下でC末端領域のI-X-Iモチーフによりダイマー同士が結合し、高次オリゴマーを形成している。哺乳類に存在する10種類のsHsp(HspB1-HspB10)の内、HspB8とHspB9はI-X-Iモチーフを持たないことから、高次オリゴマーを形成せず一般的なsHspとは異なるシステムで機能していると考えられている。そこでCHO細胞由来HspB8とHspB9を大腸菌で発現・精製し、その機能・構造解析を行った。ゲル濾過HPLCを用いてHspB8及びHspB9の分子量を測定した。その結果、どちらも高次オリゴマーは形成せず、ダイマーで存在していることが確認できた。さらに、蛋白質凝集抑制活性において、基質特異性があることを示す結果が得られた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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