細胞遊走や細胞運動の推進力はタンパク質や糖鎖の大規模な結合解離に基づいている。本研究ではこのような生命現象を再現するような人工システムを、DNAの超分子性を利用して再現することを通じて、生命分子の秩序形成における設計原理・作動原理を理解したいと考えている。具体的にはDNAの結合・解離を制御するために、DNAに光応答性分子アゾベンゼン及びその誘導体を導入した光応答性DNAを調製し、細胞モデルであるリポソームにこれを組み込み、細胞様運動するシステムのデザインを構築することを目標としている。 H27年度は光応答性繊維の構築に着手した。オーバハング型の二重鎖をユニットとし、オーバハング領域でユニット間が互いに相補的に結合することで連結するようなDNA繊維を設計した。そして、光応答性分子を連結領域に導入することで光応答性繊維の開発に成功した。これをリポソーム内に導入し、光照射を行った際の挙動を観察した。 一方で、H26年度の研究で課題となったDNAリポソームを固定するための基盤に関しては、ガラス表面に脂質膜を形成させることで解決することができた。これにより基盤上のDNAリポソームの挙動を観察することが可能になった。
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