公募研究
採択初年度である本年度は複合体での質量分析を可能とするための装置のセットアップを行いながら、共同研究先である名古屋市立大学の八木より送付された試料の測定を中心に研究を進めた。まず、プロテアソームサブユニットであるα7について、共同研究者である京都大学の杉山らによって報告されているの多量体状態の確認を行った。報告内容と同様にα7が14量体を形成し、14量体は7量体同士が2つ相互作用した状態であることが確認出来た。さらにこの状態にα6サブユニットを添加するとα6はα7に結合し、さらに14量体を解離させ、最終的に8量体のみが生じることが明らかとなった。また、α7の14量体にDMSOを添加すると質量分解能が高い7量体に解離することを見出した。なお、α6が主に単量体から形成されていることも複合体の質量分析により確認を行っている。さらに、領域内共同研究として、創価大学の池口らが研究を行っているFerritinの多量体状態の測定、についても実施した。
2: おおむね順調に進展している
当初計画したプロテアソームサブユニットα7の複合体の質量分析の実現に成功し、さらに、α6サブユニットとの相互作用による解離の観測にも成功している。このように当初計画した複合体質量分析による測定が実現できている。さらに、領域内共同研究の推進にむけた発表を行い、実際に共同研究を積極的に行っていることから、計画は順調に進展しているといえる。
既に中性子散乱を用いて報告されているα7のサブユニット交換について複合体質量分析を用いた検証を行う。さらに他のサブニットが添加された際の複合体の化学量論を順次決定する。複合体形成速度についても測定を行い、交換のカイネティクスに迫る。イオンモビリティー法を用いてドリフトタイムを測定し、一方、衝突断面積のシミュレーション結果と対比することで、α7およびα6が結合した際の複合体のアセンブリー状態を解明する。また、抗体と抗原、さらにFc受容体が形成する複合体を質量分析及び超遠心分析を用いて解析することで、エピトープと複合体サイズ、さらにはFc受容体との相互作用状態を解明する。領域内共同研究についても加速させ、様々な系の動的なアセンブリーを質量分析を用いて解明することを目指す。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (1件)
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