研究領域 | 生命分子システムにおける動的秩序形成と高次機能発現 |
研究課題/領域番号 |
26102533
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
秋山 良 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60363347)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マクロアニオン間実効引力 / 多価カチオン / 蛋白質間相互作用 / 相図 / 電解質溶液 / 国際情報交換 / 積分方程式理論 / シミュレーション |
研究実績の概要 |
教育業務の時間が予想を越えていたため実験について進める時間が時間を作る事が出来なかった事が、本年度の残念な点であった。 しかし、理論計算の観点ではかなり進んだと言えよう。計画していた塩濃度が高い領域におけるマクロアニオン間実効引力の消失はほぼ理解する事が出来た。それは、アニオンによる引力媒介カチオンの引き抜きによる事が分かった。カウンターイオンの価数依存性等の計算結果もその解釈で理解出来る事も分かった。現在論文をまとめている。 また、蛋白質を意識した計算を行う事で、多価カチオンほどのクーロン力の強さが引力発生には重要である事も分かった。蛋白質の場合の相図を計算する前に現状ではMCを用いてマクロアニオンの相図を計算している。実験結果を再現する相図を得る為には媒介カチオンがマクロアニオンに吸着している事を念頭に置いて、マクロアニオンから離れた所でのカチオンの活量がかなり下がる事を考慮に入れる必要が有る事も分かった。 別プログラムであるが、関連分野のドイツの実験研究者を九州大に招いて英語による集中講義を開催したが、その際にかなり議論を行う事が出来た。カチオン種依存性等に付いても議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験関係は停滞したので予想を超えてと言うわけにはいかなかったが、相図等に付いても計算結果が出つつ有り、理論面はかなり進める事が出来たからである。 また、マクロアニオン間実効引力の消失はほぼ理解する事が出来たことはかなり重要である。おそらく、アニオンによる媒介カチオンの引き抜きの効果がリエントラント挙動の原因と考えるアイディアはまだ出ていないと考えられる。 また、相図についての考察が進んで定性的な理解までは完成した所が想定以上の進歩であったので、実験関係の停滞に対して十分埋め合わせが出来ると考えられる。 なお、想定外では有ったが、関連分野のドイツの実験研究者との議論を行う事が出来た。これも想定以上の点であった。 以上の点から『概ね達成出来た』として良いと考えた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は実験面を何とかスタートしたいが、院生の切り替わり時期でもあるので理論計算とその出版を急ぎたいと思う。 蛋白質を意識した相図作りと構造形成、また仮定をおく必要があるが動的な構造形成をシミュレートする点に力を入れたいと思う。 それ以外の点に関しては従来通りの予定で進行中である。
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