公募研究
本年度は,液中高速AFMとX線小角散乱を用いてKaiタンパク質時計の観察を行い,分子システムが秩序を保ちつつ離合集散する分子機構の解明に取り組んだ.昨年から今年度にまで及んだ実験条件の最適化を通じて,中核となる時計タンパク質KaiCを基盤に固定化し,機能を保持した6量体として各々の粒子を観察できるようになった.固定化されたKaiCにKaiAやKaiBを添加したところ,基盤からの高さが増加する領域が複数散在して観察され,それらの位置が時間依存的に変化することが確認された.高さの増加幅についてヒストグラム解析を行ったところ,その中央値はKaiAやKaiBの大きさにほぼ相当することがわかった.X線溶液散乱については,散乱ベクトルQ = 2.5 (1/Å) までの広角散乱計測を行った.発振中の散乱曲線には,分子システムを構成する3種のKaiタンパク質からの散乱に加えて,それらの線形和では説明できない他分子種由来の信号成分が見出された.KaiC単体の散乱曲線との類似性から,KaiCにKaiAやKaiBが結合した複合体,もしくは従来と異なる対称性を有するKaiCの6量体に由来するものと推測された.一方,それぞれのKaiタンパク質について単独での広角散乱を記録したところ,結晶構造から予測される理論的な散乱曲線と大きく異なることが判明した.結晶中と水溶液中での状態の差について検討を進めている.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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SPring-8 Research Frontiers 2015
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放射光
SPring-8/SACLA利用者情報
巻: 21 ページ: 2-4
Science
巻: 349 ページ: 312-316
10.1126/science.1261040
実験医学
巻: 33 ページ: 3119-3122