研究領域 | 天然物ケミカルバイオロジー:分子標的と活性制御 |
研究課題/領域番号 |
26102709
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
土井 隆行 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90212076)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ケムバイオケム / 天然物 / 有機合成 / インシリコ / 環状ペプチド |
研究実績の概要 |
(1)スピルコスタチンAを基にしたHDAC阻害剤の創製研究 D-Val-statine の水酸基をシリルリンカーを介して固相に担持した。Fmoc法を用いて必要なペプチド残基、および光学活性ヒドロキシカルボン酸を縮合して、環化前駆体を得た。固相上でのマクロラクトン化を実現するためには、N末端およびC末端の保護基を除去する方法およびその順番を精査する必要があった。見出した条件をもとに得られた環化前駆体についてマクロラクトン化を検討した結果、収率よく環化体を得ることに成功した。さらに固相上でのジスルフィド形成を検討したが、満足結果は得られなかった。そこで、固相上から環化化合物を切り出した反応溶液を用いて、そのままワンポットでジスルフィド形成を実現し、全工程を固相上で行なう完全固相合成法を確立することに成功した。今後、本手法を用いて種々の類縁体を効率良く合成することが可能になった。 (2)HDAC阻害剤をプローブとする標的タンパク質複合体解析 スピルコスタチンAと同様にHDAC阻害活性を示す、ラーガゾールおよび環状テトラペプチド誘導体を合成し、HDAC活性を維持した分子プローブへ誘導化した。この化合物を用いて結合タンパク質複合体解析を行った結果、スピルコスタチンAと同様に、HDACと複合体を形成していることが知られているタンパク質群を得ることができた。興味深いことに、分子プローブの前駆体の活性の強弱に関わらず、同様の結合タンパク質複合体が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績に記載したとおり、当初計画していたことは、すべて達成している。
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今後の研究の推進方策 |
効率良い合成法を確立したので、この方法を用いて種々のスピルコスタチンA類縁体の合成を計画している。この際、インシリコによるドッキングシミュレーションを取り入れて化合物設計も効率化する方針である。
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