公募研究
ブファジエノリドは、ベンケイソウ科やアヤメ科の植物、またヒキガエルなどの動物から単離されたステロイド化合物である。その強い細胞毒性から注目を集めているが、天然からはほとんど得られない。今年度は、前年度までに完了させたウアバゲニンの全合成を基にして、生物学的に重要なブファジエノリドであるブリオフィリンCの合成研究を行った。まず、ウアバゲニンの合成中間体をブリオフィリンCの合成における共通中間体として設定し、それを大量に合成することに成功した。ブリオフィリンCの特徴的な部分構造であるC17位2-ピロンの導入は、官能基化されたステロイド骨格を有する中間体に対してStilleカップリングを実施することで導入可能であることが分かった。世界で初めての例となるブファジエノリド類の全合成に必要な変換は、残すところC16-17二重結合の立体選択的還元と脱保護のみであり、今後検討する予定である。
2: おおむね順調に進展している
既に完了したウアバゲニンの全合成経路を基にして、該当年度に計画したブリオフィリンCの全合成をほぼ達成できる段階にいる。今年度、構造活性相関を指向したブファジエノリドの類縁体を合成する準備は出来ていると言え、順調に進展している。
今後は、まずブリオフィリンCの全合成を完了し、ブファジエノリド類の量的供給と類縁体合成を実行する。得られた化合物のがん細胞成長阻害活性の評価と分子設計を実施し、抗がん剤として機能し得るブリオフィリンの創製を目指す。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (16件) (うち招待講演 3件)
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