研究領域 | 天然物ケミカルバイオロジー:分子標的と活性制御 |
研究課題/領域番号 |
26102720
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田中 浩士 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (40334544)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | パラジウム触媒 / 鈴木宮浦反応 / 脂質誘導体 / 自然免疫 / ワンポット反応 / 化学選択的トランスメタル化 |
研究実績の概要 |
真菌の細胞膜成分には、自然免疫応答を促す糖脂質が多く含まれている。これら糖脂質の構造活性相関および、生物活性発現機構を明らかにすることは、自然免疫のメカニズムの解明だけでなく、創薬ターゲットやリード化合物の創出につながる。そこで、本研究では、環状ホウ素化合物に対する連続的かつ化学選択的酸化的付加反応を利用するワンポット連続パラジウムカップリング反応の開発と、本手法を利用するBCG 菌細胞膜成分糖脂質1 およびその類縁体の合成を行い、その構造活性相関を明らかにすることを目的とした。 本年度は、環状ホウ素化合物を用いる連続パラジウムカップリング反応について検討した。まず、1、5ヘキサジエンより合成できる7員環環状ホウ素化合物を用いて検討した。その結果、氷冷下、一段階目のパラジムカップリング反応が進行し、鎖状ボリン酸が生成し、加熱により、生成したボリン酸に対するトランスメタル化を利用して2段階目のカップリング反応が進行することを明らかにした。本反応は種々の芳香族化合物に適応可能であることをみいだした。さらに、5員環および6員環ボラン化合物についても同様な反応が進行することを明らかにした。さらに、環状ボラートを用いるワンポット反応について検討した。その結果、無水条件下でカップリング反応が進行し、鎖状ボラン化合物が生成し、水を加えることにより、連続的にカップリング反応が進行することを明らかにした。本手法は、様々な脂質誘導体の合成に適応可能であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
連続的パラジム触媒反応の基本反応の開発に成功した。また、本手法が6炭素だけでなく、5炭素および4炭素を有する環状ホウ素化合物へも適応可能であることを明らかにした。さらに、環状ボラートを基質と用いるワンポット連続反応についてもその基本反応の開発に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究において、立体選択的環状ホウ素化合物の合成については、十分な検討はできていないものの、ワンポット反応の基本反応の開発を達成した。今後は、ケミカルバイオロロジー研究へと展開することを目的に、糖脂質誘導体の合成を行い、糖脂質誘導体の生物活性評価および構造活性相関の解明を行なう予定である。
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