研究実績の概要 |
本研究では、抗がん活性を有するフシコクシン誘導体ISIR-042が14-3-3と一緒に会合する標的タンパク質(リン酸化リガンド)を決定し、ISIR-042の特異な生物活性作用機序を解明することを目的とする。本年度は免疫沈降実験の実施に向け、HEK293細胞を用いてFLAG-14-3-3zeta安定発現株を樹立することを計画した。ヒト14-3-3zeta遺伝子をpFLAG-CMV-4ベクターへ導入したプラスミドをFuGENE試薬を用いてHEK293細胞に形質移入し、細胞抽出液をFLAG抗体とpan14-3-3抗体を用いてwestern blotで解析したところ、目的のFLAG-14-3-3zetaたんぱく質の一過性発現を確認することができた。この細胞を抗生物質G418で選択圧を掛けた条件で培養すると、1か月後に細胞コロニーの生育が認められた。95個の細胞コロニーを96 well plateに採取し、ほぼ2日おきに24, 12, 6 well plate, 6 cm培養皿に順次継代した。ここで38個のコロニーについて、western blot解析を行ったところ、 D12番株に最も強いたんぱく質の発現が確認された。そこでD12株を大量培養に用いることとし、60g程度の細胞を取得した。今後はこの細胞の抽出液を用いた免疫沈降実験と質量分析によるたんぱく質同定を検討する予定である。
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