公募研究
本研究では、抗炎症作用・免疫調節作用のみを有するEMA誘導体EM900の創薬展開とアフィニティ磁性微粒子 (半田ビーズ)を利用した標的タンパク質の単離・同定を目指す。まず、研究代表者らは、抗炎症作用が強く、細胞毒性が弱いEM900誘導体の創製を目指した。その結果、3-ケト-3’-p-クロロベンジル体EM939は、抗炎症作用が最も高く、かつ細胞毒性がない誘導体を合成できた。そこで、研究代表者らは抗炎症作用の強いEM905及びEM939についてCOPDモデル動物を用いたin vivo試験を行った。その結果、EM905及びEM939を投与することにより、COPDを誘発したモルモットで肺活量、努力肺活量、全肺活量に影響を与えることなく、COPDの誘発により増加した残気量及び機能的残気量を有意に抑制し、かつCOPDによって長くなった肺胞の長さを短くすることが判明した。2)EM900の標的タンパク質の探索合成したEM900固定化ビーズを用いて、標的タンパク質を同定するためにアフィニティ精製実験を行ったところ、66 kDaと45 kDa付近に主な2つのバンドを検出した。さらに、EM900との競合実験によって、これらの2つのバンドは濃度依存的に減少していることが確認された。次に、他のマクロライド系抗生物質(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン)との競合実験を行った。EM900を用いると濃度依存的に競合が起こるが、他のマクロライド系抗生物質を用いたときは、競合しなかった。従って、現段階では、この2つのタンパク質はEM900により強い親和性をもつと考えている。一方で、この2つのタンパク質の切り出しと分析を行い、45 kDa付近のバンドをアクチン、66 kDa付近のバンドをEM900の新規結合タンパク質と同定した。さらに、詳細な解析の結果、新規結合タンパク質が炎症に関わっていることを確認した。従って、今後EM900とこの結合タンパク質の抗炎症作用への関与を解析する。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Int. J. Clin. Oncol.
巻: 48 ページ: 45-54
doi: 10.3892/ijo.2015.3237
J. Antibiot.
巻: 69 ページ: 319-326
doi: 10.1038/ja.2015.91
http://seibutuyuuki.sakura.ne.jp/index.html