公募研究
本申請ではリガンド依存性Ub化制御機構を基軸とした 核内受容体リガンドの新たな評価系の応用を目的としている。(1)核内受容体全体に体する”汎用性の向上”、(2)活性指標の”定量的”且つ”定性的な検出方法の導入、(3)生理学的・病理学的な”位置づけの明確化の三つを研究遂行の主軸としている。(1)本年度は、リコンビナントタンパクを用いて核内受容体とE3 ubiquitin ligaseとの直接的な結合領域を同定した。この結合責任領域は核内受容体ファミリーで高度に保存されており、リガンド依存性Ub化制御機構が受容体間で保存されたシステムであることが示唆された。また、エストロゲン受容体をモデルとし、リガンド依存性を規定するE2酵素のスクリーニング及び特定を行った。(2)LC-MS/MS を用いたAqua法により、核内受容体のリガンド依存性活性の”定量的”な検出手法を導入した。また、ユビキチン化の増減を数値化するのみでなく、同手法によりユビキチン鎖種の特定を行うことで定性的な解析を取り入れた。ユビキチン鎖種はユビキチンの細胞内機能を規定するため、本手法の導入により評価リガンドの活性の有無だけでなく細胞内におけるリガンドの作用機序が推測可能な評価系へ改善された。(3)CRISPR/Cas9法を用いて本機能を消失したノックインマウスを作成を計画しており、Vectorの構築及び有用性を培養細胞株で確認した。また、Dox誘導性のadd-back法を用いて培養細胞株の樹立している。マウス個体及び培養細胞株をもちいて、リガンド病理・生理作用におけるリガンド依存性Ub化制御機構の解析を試みている。また、新たなリガンド依存性Ub化基質を同定した。基質に対する阻害剤とリガンドとを併用することで、顕著な癌抑制効果を発揮することを見出し、本機能の新たな有用性を見出した。
2: おおむね順調に進展している
本研究は三つの目的を軸として遂行しているが、全ての項目について当初計画した手法を用いて行われている。また、各目的についての年次計画をたてているが概ね順調である。
(1)については各核内受容体リコンビナントタンパクを用いたassay,及び細胞内機能の特定を行う。(2)についてはERを筆頭に各種核内受容体リガンドの測定を引き続き行う。(3)については樹立済み培養細胞株に加え、(1)で評価した核内受容体に関しての培養細胞株を試みる。また、ノックインマウスを用いた高次機能解析を行うことで、各種リガンド・核内受容体のUb化制御能の評価を行う。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
J. Biol. Chem
巻: 290 ページ: 5673-5684
10.1074
http://www.marianna-u.ac.jp/t-oncology/