公募研究
1)非環式レチノイドの標的分子同定と癌細胞選択的細胞死誘導経路の解明:[非環式レチノイド結合磁気ビー ズ法]非環式レチノイドの構造活性相関研究からCOOH基の存在が必要であることがわかった。神戸薬科大学和田昭盛教授と共同研究しCOOH基の反対側にアミノ基を導入した誘導体を合成、半田ビースへの固定化を試みている。[オミックス解析・バイオインフォーマティクス法]次世代シーケンスを用いたCap Analysis Gene Expression法による非環式レチノイド処理したヒト肝細胞癌細胞と正常肝細胞の遺伝子発現プロファイルを比較し、癌遺伝子MYCNは肝癌細胞株JHH7でのみACR処理によって強く抑制される標的バイオマーカーであることを見出し、動物モデルならびに臨床検体で確認した。MYCNは、未分化肝癌幹細胞マーカー(AFP、EpCAM、CD133)と強く相関し、早期肝癌の再発と有意な負相関が見られた。IPA解析およびloss-of-function解析によって、非環式レチノイドがSp1/MYCN/Caspase-8経路を介して癌細胞選択的細胞死を誘導する事を明らかにした。2)トランスグルタミナーゼ2(TG2)核局在を標的とした病的細胞死制御剤の標的分子同定:前半の簡易スクリーニング系からphenosafraninが強く核TG2活性を阻害することが分かった。GFP(Green fluorescent protein)タグ付きフルサイズTG2(TG2 Full)を強制発現させた肝癌細胞JHH7を用いて、phenosafraninが非環式レチノイドによるTG2の核移行を阻害することを共焦点顕微鏡 LSCMで確認した。また、グルタチオンセファロースビーズを用いたGST pull-down assay法によって試験管内のTG2と核内輸送タンパク質importin-βとの結合が見られた。Proximity Ligation Assay(PLA)法によって、非環式レチノイドが細胞内のTG2/importin-β結合を促進し、TG2の核内輸送誘導機構を明らかにした。3)
2: おおむね順調に進展している
1)非環式レチノイド(ACR)の標的分子同定と癌細胞選択的細胞死誘導経路の解明:[ACR結合磁気ビー ズ法] ACRの活性発現に大事なCOOH基とは反対側にアミノ基を導入したACRアミノ化体を和田教授(神戸薬科大)との共同研究により合成、半田ビーズへの固定化を試みている。[オミックス解析・バイオインフォーマティクス法] ACR処理ヒト肝細胞癌細胞/正常肝細胞の遺伝子発現プロファイルの比較から、癌遺伝子MYCNが肝癌細胞でのみ発現されACR処理で抑制される標的バイオマーカーであることを見い出し、動物モデルや臨床検体で確認した。2)トランスグルタミナーゼ2(TG2)核局在を標的とした病的細胞死制御剤の標的分子同定:スクリーニング研究によりフェノサフラニンが強く核TG2活性を阻害することが分かった。GFPタグ付きTG2強制発現肝細胞癌細胞を用い、フェノサフラニンがACRによるTG2の核移行を阻害することを共焦点顕微鏡で確認した。グルタチオンセファロースビーズを用いたGST pull-down assay法を用いACRがTG2と核内輸送タンパク質importin-βとの試験管内での結合を、Proximity Ligation Assay(PLA)法を用いACRが細胞内TG2/importin-β結合を、それぞれ促進することを確認した。3)TGF-β活性化反応を標的とした病的組織線維化抑制剤の構造生物学的研究: LAP切断部位に結合し、血漿カリクレイン依存TGF-β活性化反応を阻害する化合物CMR#46は、HBV感染ヒト肝細胞移植キメラマウスにおいて有意な線維化抑制効果を示した。4)核TG2阻害剤の腫瘍血管新生選択的制御剤としての有用性評価:前半の研究により見出した4種の核TG2阻害化合物について、TG2/EGh2/VASH1経路に与える影響を確認中。
下記の計画通りに進め、当初目的を達成する。以下に個々の課題について具体的に記す。1)非環式レチノイドの標的分子同定と癌細胞選択的細胞死誘導経路の解明:[非環式レチノイド結合磁気ビー ズ法]非環式レチノイドアミノ化体を固定した半田ビーズを作成し、MYCN陽性の非環式レチノイド反応ヒト肝細胞癌細胞抽出液には存在し、MYCN陰性の非環式レチノイド非反応ヒト正常肝細胞抽出液には存在しない非環式レチノイドの結合標的タンパクを同定する。[オミックス解析・バイオインフォーマティクス法]同定したタンパク質からSp1/MYCN/Caspase-8経路に至る経路をパスウェイ解析で見出し、細胞生化学的に証明する。2)トランスグルタミナーゼ2(TG2)核局在を標的とした病的細胞死制御剤の標的分子同定:核TG2の活性を特異的に阻害する化合物phenosafraninがTG2とインポーチンとの相互作用をはじめ核局在のどのステップを阻害するかを解明する。3)TGF-β活性化反応を標的とした病的組織線維化抑制剤の構造生物学的研究:病的肝線維化のみ阻害する薬剤候補CMR#46のADMETを調べる。4)核TG2阻害剤の腫瘍血管新生選択的制御剤としての有用性評価:腫瘍血管新生を特異的にサポートするTG2/EGh2/VASH1経路を特的に制御する化合物や因子を見出す。
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Journal of Nutritional Science and Vitaminology
巻: なし ページ: 印刷中
PlosOne
巻: 1 ページ: 1
10.1371
SpringerPlus
巻: 3 ページ: 22
10.1186/2193-1801-3-221
http://www.clst.riken.jp/ja/science/tech/kill_selectively_hepatocellular_carcinoma_cells/
http://www.clst.riken.jp/ja/science/tech/fibrogenesis/
http://www.clst.riken.jp/ja/science/tech/fibrogenesis1/