公募研究
本研究では、ソフトマテリアルの非平衡物性を解析するために、熱拡散型強制レイリー散乱法 (TDFRS法 )を用いて、物理的に制御可能な非平衡系として安定した温度勾配をつくり、温度勾配をドライビングフォースとする濃度勾配形成現象(ルードヴィッヒ・ソレー効果)を調べる。ソフトマテリアルにおける分子レベルでの相互作用が、温度勾配下におけるマクロな濃度勾配の大きさと方向を決定しているメカニズムを非平衡系の実験研究として系統的に調べることで、ソフトマテリアル研究および非平衡熱力学の発展へ寄与することを目的とする。これは新学術領域「ゆらぎと構造の協奏:非平衡系における普遍法則の確立」に実験データを提供し普遍性を明らかにしていくための基礎となる研究である。初年度は、アクリル系高分子、エチレングリコール類、アセチル化デキストランを溶質として、種々の溶液を調製しデータ取得を行った。また、非常に挑戦的なサブテーマを設定しており、これを実施するための研究装置の試作を予定通り進めた。
2: おおむね順調に進展している
初年度の研究はおおむね計画通り順調に進展している。それは、測定を計画していたサンプルについてのデータ取得は一通り済んでいるためで、今後は再現性を確認するための追加実験をする予定である。また、非平衡系の実験に加えて、熱平衡系での高分子のキャラクタリゼーションも適宜実施することができた。受精卵を用いたチャレンジングなテーマとして、研究対象としては最も複雑であるが、非平衡熱力学により生命現象の理解を深められる可能性のある実験テーマを設定してあった。これについては、 装置の試作、および予備実験段階ではあるがデータ取得が達成された。
今後の推進方策としては、ソフトマテリアルを対象とする非平衡系実験のデータ取得をさらに実施する。また受精卵を用いたチャレンジングなテーマは本実験へと移行する。研究計画の変更の必要性は無い。領域の研究目的達成のために、基礎データを取得し新たな情報を提供していくが、領域研究者との共同研究を立案するなどして、本課題の目的達成と領域への貢献を意識して研究活動を実施していく。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (40件) (うち招待講演 4件) 図書 (1件) 備考 (3件)
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http://www.sp.u-tokai.ac.jp/~rgms/indj01.html
http://www.mnc.u-tokai.ac.jp/
http://www.u-tokai.ac.jp/research/recent_research/