研究領域 | 太陽系外惑星の新機軸:地球型惑星へ |
研究課題/領域番号 |
26103704
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
竹内 拓 東京工業大学, 理工学研究科, 特任准教授 (40372651)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 理論天文学 / 惑星起源・進化 / 太陽系外惑星 / 磁気流体力学 / 原始惑星系円盤 / 電波天文学 |
研究実績の概要 |
本研究は、原始惑星系円盤の磁気乱流の強さを見積もる理論モデルを作成し、特にデッドゾーンと呼ばれる磁気的に不活性な領域がどのように広がっているか、またデッドゾーンが円盤の構造にどのような影響を与えるかを明らかにすることを目的としている。平成26年度までの研究で、われわれは原始惑星系円盤の降着速度が与えられた場合の磁場の定常解を求めることに成功している。 平成26年度では、円盤がデッドゾーンを一部含んでいるような場合について、これまでのモデルを拡張する方法を開発した。この一般化したモデルに基づいて、デッドゾーンがある円盤においての磁場の定常解を円盤の降着率によって分類した。また、円盤の降着率は円盤進化の指標と考えられているので、円盤の時間進化にしたがって磁場の形状がどのように変化するかを予想した。これらの結果から、円盤が進化していくに従い円盤内側の磁場の強さはガス圧と比べて相対的に増加し、その結果、円盤内側にガスのない領域が生じる可能性が示された。 一方、デッドゾーンを含まないような場合について、磁場の長時間進化を数値計算で求めることも行い、ある条件下では定常解が磁場の形状をよく記述していることを示した。 また本研究の目的として、得られた円盤構造をALMA望遠鏡との観測結果と比較することにより、磁気乱流の定量的評価を行いたいと考えている。この目的のために、ALMAへの観測プロポーザルを複数の共同研究者とともに提出した。さらに、現時点では乱流起源ではなく大規模な渦構造を起源とするものであるが、円盤の速度構造の理論モデルを、これまで得られたALMAの観測データと比較する研究を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究が目的とする、原始惑星系円盤の磁気乱流の強さを評価するために、円盤を貫く磁場の進化モデルについて、デッドゾーンを含むような場合にもモデルを拡張した。また、このモデルを使うと、円盤の降着率によって磁場形状が分類できることを示した。円盤の降着率は円盤進化の指標と考えられているので、磁場の形状が円盤進化にしたがってどのように進化していくのかを予想することができた。さらに、デッドゾーンを含まない場合であるが、磁場形状の長時間進化を数値計算によって追い、準定常解に緩和する条件を求めた。これらの結果から、磁場進化の定性的な性質について重要な知見が得られた。 また本研究の目的として、理論的に予想した円盤構造をALMA望遠鏡の観測結果と比較して磁気乱流の定量的評価を行うことを考えているが、ALMAへの観測プロポーザルを複数の共同研究者とともに提出した。さらに、現時点では乱流起源ではなく大規模な渦構造を起源とするものであるが、円盤の速度構造の理論モデルをこれまで得られたALMAの観測データと比較する研究を開始した。この研究では直接磁気乱流の強さを得ることはできないが、この研究によって、将来の磁気乱流の観測的定量評価を行うに当たって必要となる、円盤の大局的な速度構造について何らかの見積もりが得られると考えており、重要な1ステップになると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
まず、理論モデルの開発であるが、これまでは定常解を得ることに重点を置いてきた。磁場の時間進化に関しては、デッドゾーンがないという特殊な状態においてのみ行ってきた。そこで、デッドゾーンがある一般の円盤について、まず準定常な解を求める。特にこれまでの研究で、磁場と円盤構造が同時に進化する場合では、降着率が大きい解と小さな解が共存できることが示唆されている。これらの解の分岐がどのように起こるのかを明らかにする。その後、円盤構造と磁場強度の準定常な解を数値的に求める。得られた円盤構造がALMAなどの観測を通して、どの程度比較定量できるかを評価する。 ALMA望遠鏡の観測結果との比較であるが、現在申請しているプロポーザルがcycle 3に通っても、観測されるまでには時間がかかると思われる。そこで、大規模な渦構造を起源とする円盤の速度構造の理論モデルを、これまで得られたALMAの観測データと比較する研究に重点を置きたい。すでに観測されたデータと円盤の大局的な渦構造の理論モデルを比較して、ALMAの実際の観測からどの程度モデルに制限を課せられるかを明らかにする。
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