公募研究
ピレンをエステル部の置換基として有するジアゾ酢酸エステルを合成し、その重合により、主鎖周囲にピレンが集積した構造のポリマーの合成に成功した。ピレンと主鎖の炭素に結合したエステル部のアルコキシ酸素との間のリンカー部が、ないもの、メチレン1つのもの、メチレン4つのものという3種のモノマーの重合を行い、主鎖とピレンの間の距離が異なるポリマーを合成し、その構造の違いが光物性に与える影響を検討した。さらには、ピレンの集積効果が光物性に与える影響を評価するため、対応するアクリレートモノマーの合成と重合を行い、得られたポリマーの光物性を測定した。上記のピレン含有ポリマーの超高速近赤外吸収測定を行ったところ、ジアゾ酢酸エステルから得られたポリマーは、対応するビニルポリマーに比べて、リンカーの長さに関わらずエキシマー形成速度が増大することが明らかとなった。さらに、リンカー部の長さは短いものほど、エキシマー形成速度が増大することも確認した。これらの測定結果から、ジアゾ酢酸エステルの重合により得られるポリマーでは、主鎖周囲でのピレンの集積効果により、ピレンのエキシマー形成効率が上昇していることが明確に示された。このような官能基集積効果は、今後の光機能性高分子材料の開発に繋がる重要な知見である。ピレンと同様の光機能性官能基としてBODIPYをエステル部に導入したジアゾ酢酸エステルの合成とその重合に成功した。BODIPYに結合した置換基の違いにより、吸収・発光波長の異なるものをエステル部に有するモノマーのブロック共重合によって、BODIPYブロック間の高効率エネルギー移動を利用した光機能性高分子の開発へと展開することが可能となった。さらに、親水性や耐熱性を有するポリマーを、各種の置換基を有するジアゾ酢酸エステルの重合により合成することに成功した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
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