公募研究
本研究では分子配向の変化やナノスケールレベルの分子の変位・回転がマクロな機械的機能に変換されるダイナミックな分子性固体・分子結晶アクチュエーターを開発することを目指し検討を行った。その結果、ニッケル錯体 [NiII(en)3](ox) (en = ethylenediamine, ox2-; = oxalate anion) が強弾性相転移を示し、相転移温度で異方的な結晶伸縮を示すことを見出した。結晶構造解析により、b軸とc軸方向は相転移温度で正の熱膨張を示すのに対し、a軸方向は負の熱膨張を示すことがわかった。また、分子結晶中でシュウ酸イオンの分子回転が協同的に誘起されるため、回転に基づくサブナノメーターの変化が増幅し、数十ミクロンオーダーのダイナミックな結晶伸縮が観測されることが分かった。c軸方向の結晶伸縮の大きさは結晶サイズの約5%であった。
2: おおむね順調に進展している
物質合成で当初やや遅れが出たが、最終的にシュウ酸ニッケル錯体がシュウ酸イオンの90°回転に基づく異方的結晶伸縮を示すことを見出すことができた。
シュウ酸ニッケル錯体の誘導体の合成とその物性評価を行う。また、新しいメカニズムに基づくメカニカル物質の開発を行う。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
Nature Chem.
巻: 6 ページ: 1079-1083
10.1038/NCHEM.2092