公募研究
いかなる生命現象も突き詰めるとタンパク質が駆動する化学反応がもとになっている。したがって、生命とは何か?という問いに答えるためには、タンパク質の機能メカニズムを明らかにする必要がある。この目的のためにはタンパク質の立体構造とダイナミクスの情報が不可欠である。本研究の目的は、タンパク質の構造ダイナミクスを研究するための微量高速混合装置の試作である。構想では、2つのインクジェットヘッドから高速(1~10 m/s)で吐出される微量(100 pL~1 nL)の酵素および基質をそれぞれ含む液滴を衝突させることによって混合し、酵素反応を開始させて時間軸に沿って追跡する。インクジェットヘッドは、ピエゾ素子に電圧パルス(第1パルス、第2パルス)を印加して液滴を吐出する。これらの電圧パルスの幅はそれぞれ110 μs, 15 μs程度であり、遅延時間は50 μsである。電圧は30 V程度である。これらの最適な値は、液体の粘度と表面張力により異なるため、脱イオン水、緩衝液、界面活性剤入り緩衝液、タンパク質水溶液についてそれぞれ試行錯誤により求めた。次に液滴の吸収スペクトルを測定するための光学系を組み立て、酸素化型ミオグロビン液滴の吸収スペクトルを測定して試した。その結果、800 pmol以下の試料で測定可能であることがわかった。さらに、2台のインクジェットヘッドをそれぞれxyzθ軸微動ステージに固定したミキサーを製作した。そして、2つの液滴の衝突・混合を行った。一方、微量試料(80 μl)用吸い上げ式ヘッドについては、電圧パルス印加前に試料溶液が流れ出さないよう保持するために±5 kPa程度の安定した微圧を発生する必要があり、そのための微圧発生装置を組立てた。それを用いて吸い上げ式ヘッドによる液滴の吐出に成功した。以上により、ピエゾ式インクジェットヘッドの用いた液滴混合装置の試作に成功した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 4件、 査読あり 14件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 4件、 招待講演 5件)
Chemistry
巻: 22 ページ: 5924-5936
10.1002/chem.201600048
Chem. Sci.
巻: 7 ページ: 2896-2906
10.1039/c5sc04825g
J. Biol. Chem.
巻: 291 ページ: 4178-4184
10.1074/jbc.M115.680553
Inorg. Chem.
巻: 55 ページ: 1542-1550
10.1021/acs.inorgchem.5b02395
巻: 55 ページ: 1613-1622
10.1021/acs.inorgchem.5b02520
J. Synchrotron Rad.
巻: 23 ページ: 334-338
10.1107/S1600577515018275
Dalton Trans
巻: 45 ページ: 469-473
10.1039/c5dt04088d
J. Am. Chem. Soc.
巻: 137 ページ: 10870-10873
10.1021/jacs.5b04104
Chem Commun (Camb)
巻: 51 ページ: 12407-12410
10.1039/c5cc03520a
PLoS One
巻: 10 ページ: e0135080
10.1371/journal.pone.0135080
巻: 54 ページ: 6176-6183
10.1021/acs.inorgchem.5b00294
Angew. Chem. Int. Ed. Engl.
巻: 54 ページ: 7336-7339
10.1002/anie.201502367
Chem. Lett.
巻: 44 ページ: 1142-1144
10.1246/cl.150384
Bull. Chem. Soc. Jpn.
巻: 88 ページ: 591-596
10.1246/bcsj.20140367