研究領域 | 理論と実験の協奏による柔らかな分子系の機能の科学 |
研究課題/領域番号 |
26104541
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
中西 和嘉 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (20401010)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 界面 / 共役分子 / 構造制御 |
研究実績の概要 |
新しい共役分子は,構造有機化学から物性化学の基礎化学において興味が持たれるのみならず,有機電子デバイスの基板材料としての重要性を増している。これまでの共役分子は,堅いπ系電子骨格を基盤としてきた。 本研究では,共役系が単結合で連結され,柔らかい構造を有する分子を基盤とし,柔らかさを利用した新しい有機材料を開発することを目的とする。 初年度は,2枚のナフタレン環が単結合で連結され,単結合周りの2面角にある程度の自由度(柔らかさ)を有するビナフチルの構造制御を目指した。 ビナフチルを両親媒化すると,気水界面において,分子レベルで配向した単分子膜を形成できる。この両親媒性キラルビナフチルの単分子膜を力学的に圧縮・膨張させると,それに伴いCDスペクトルが変化し,ビナフチルの2面角が連続的に変化していることが分かった。よって,ビナフチルというモデル構造において,気水界面で分子を扱えば,構造を力学的に制御することが可能であることを示すことに成功した。 本年度は,界面における分子構造の力学制御を,単分子膜を石英基盤に転写し,薄膜のCD測定を行うことで確認した。また,界面での分子の挙動を直接観測することを,領域内の分光の専門家と共同研究によって進めている。実験のみならず,理論計算を用いても,分子の挙動を理解することを始めた。すなわち,単分子の分子構造変形や,分子集合体中での分子変形の分布をシミュレーションすることで,単分子膜中の分子に,力学刺激が与える影響をより深く理解することを試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,柔らかな共役構造を制御し,新しい機能材料を開発することを目的としており,構造制御,物性制御の順で研究を進めることになっている。本年度はその要となる分子構造制御が,気液界面という2次元場で力学的エネルギーを用いると可能であることを示すことができた。実験のみならず,理論計算で現象を理解することにも着手しており,単分子あるいは,集合体における,静的,動的挙動をシミュレーションすることに成功している。
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今後の研究の推進方策 |
柔らかな共役系の分子構造制御が可能となってきたので,今後は機能性を制御できるように進める。具体的には,分子の発光特性をターゲットとする。化合物を合成し,その挙動を分光学的に観測することで,まずその物性をとらえる。汎用の分光機器を利用して解析するのみならず,領域内の分光の専門家と共同研究を進めながら,分子や分子集合体の静的・動的挙動を明らかにする。また,昨年度より進めている,理論計算による分子挙動の理解を進める。
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