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2014 年度 実績報告書

世界最高輝度X線を用いた真空の構造の研究

公募研究

研究領域先端加速器LHCが切り拓くテラスケールの素粒子物理学~真空と時空への新たな挑戦
研究課題/領域番号 26104701
研究機関東京大学

研究代表者

難波 俊雄  東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (40376702)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード素粒子実験 / 量子電磁力学 / 真空の構造 / X線光学
研究実績の概要

本年度は実験のフェーズ1の位置づけであり、まず、実験装置の準備を行った。年度初めは各部品や検出器を製作した。測定系を組み上げて、動作とバックグラウンドを確認するため、6月にSPring-8のBL19LXUビームラインで試験測定を行った。3日間のビームタイムで、X線衝突系、検出器系ともに問題なく動作し、バックグラウンドも想定通りであった。そのセットアップをほぼそのまま使用して、SACLAで光子・光子散乱を探索した。測定は11月3日から6日にかけてSACLA BL3、EH4で行った。装置を約1日かけて調整し、ほぼ2日間データを取得した。その結果、光子・光子散乱のシグナルとして予想されるエネルギー領域にはイベントが見つからなかった。フォトダイオードで測定したX線光子数と、ワイヤースキャンから求めたビームサイズを考慮して、今回の測定で得られた光子・光子散乱に対する上限値は3.7×10^-25m^2(信頼レベル95%)となった。これは、以前のわれわれの測定と比較すると約4倍厳しい制限である。ただし、かつて可視光領域で行われた実験と比較すると、QEDの予言する断面積に対する制限としては弱い。この原因の一つは、SACLAのビームが調子が悪く、線幅、光子数ともに期待するほどの性能ではなかったことがある。これらの結果の詳細については、現在解析中で、論文として公開する準備をしている。また、更なる感度向上のためにX線衝突系の改良を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた通り、実験装置の準備が完了し、第一回目の測定を行う事ができた。また、今後の感度向上のための課題の洗い出しができ、改良の方針を決定できた。

今後の研究の推進方策

光子・光子散乱の探索感度を向上させ、次の測定を行う。感度向上のためには、まず、SACLAの改良(SEED化)によるX線の単色性の向上が期待できる。また、現在、X線の衝突のためにはラウエ回折を利用しているために大幅なX線のロスがあるが、これをブラッグ回折の利用に変更し、そのための結晶を作成することでも感度向上を行う。
これらにより、SACLAで世界最高感度での光子・光子散乱探索実験を行う。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Search for photon-photon elastic scattering in the X-ray region2014

    • 著者名/発表者名
      T. Inada, T. Yamaji, S. Adachi, T. Namba, S. Asai, T. Kobayashi, K. Tamasaku, Y. Tanaka, Y. Inubushi, K. Sawada, M. Yabashi, T. Ishikawa
    • 雑誌名

      Physics Letters B

      巻: 732 ページ: 356-359

    • DOI

      doi:10.1016/j.physletb.2014.03.054

    • 査読あり
  • [学会発表] 光を使って真空を探る2015

    • 著者名/発表者名
      難波俊雄
    • 学会等名
      日本物理学会第70回年次大会
    • 発表場所
      早稲田大学 (東京都・新宿区)
    • 年月日
      2015-03-22
  • [学会発表] SPring-8/SACLAにおける光子光子散乱の探索2015

    • 著者名/発表者名
      山道智博
    • 学会等名
      日本物理学会第70回年次大会
    • 発表場所
      早稲田大学 (東京都・新宿区)
    • 年月日
      2015-03-21
  • [学会発表] Search for photon-photon scattering using the xFEL; Applications to the Particle physics2015

    • 著者名/発表者名
      浅井祥仁
    • 学会等名
      6th Ringberg Meeting on Science with FELs
    • 発表場所
      ゲッティンゲン (ドイツ)
    • 年月日
      2015-02-25
    • 招待講演
  • [学会発表] X線を用いた光子・光子散乱 ー光で探る真空ー2014

    • 著者名/発表者名
      難波俊雄
    • 学会等名
      新学術領域研究会 テラスケール2014
    • 発表場所
      大阪大学 (大阪府・豊中市)
    • 年月日
      2014-11-29
  • [学会発表] SPring-8/SACLAにおける光子光子散乱の探索2014

    • 著者名/発表者名
      山道智博
    • 学会等名
      日本物理学会2014年秋季大会
    • 発表場所
      佐賀大学 (佐賀県・佐賀市)
    • 年月日
      2014-09-18
  • [備考] Tabletop Experiments

    • URL

      http://tabletop.icepp.s.u-tokyo.ac.jp/

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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