H27年度は、H26年度に発見したアナーキー理論の固有値への拡張を行い、レプトジェネシスがアナーキー理論と非常に整合性が高く、宇宙の物質・反物質非対称性を自然に説明できることを、定量的に示した。一方残念ながら、ニュートリノ振動で測定できる CP の破れと、レプトジェネシスに必要な CP の破れには相関が全くないこともはっきりした。ニュートリノ振動実験は、レプトジェネシスの「状況証拠」にはなりうるが、「直接証拠」にはなり得ないことがわかる。また、宇宙論からのニュートリノの質量和についての制限、ニュートリノのない二重β崩壊からのマヨラナ性への制限とは深い相関があり、今後の実験の結果が重要であることもはっきりした。 また、H27年度の研究計画として提案した通り、新しい超対称性の破れの伝達機構をまず発表し、今まで問題であった軽いグラビティーノの質量の上限と、LHC 実験からの超対称性の破れのスケールの下限を整合させることができた。これで今後の陽子崩壊の探索での寿命と分岐比を研究できるところまで来ている。しかし年度途中で廃止となったため、陽子崩壊の研究を完成させるところまではできなかった。
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