近年の宇宙観測により、宇宙のエネルギーのおよそ4分の1は暗黒物質が占めることが知られている。また、相対論的な暗黒物質と言える暗黒輻射の存在も知られており、標準模型のニュートリノに加えて新たな暗黒輻射が存在する可能性も考えられている。 本研究では、本年度、暗黒物質の候補となる新粒子および新たに暗黒輻射に寄与する新粒子がニュートリノ質量生成に関与するような新模型を提案した。この模型では、ニュートリノ質量は2ループの輻射補正で生成される。ツリーレベルや1ループのニュートリノ質量は、模型に課せられた複数の離散対称性によって禁止されており、その対称性はさらに暗黒物質および暗黒輻射の安定性を保証することが確認できた。また、暗黒物質やニュートリノ質量と同様に、標準模型では説明が困難な現象としてバリオン数非対称性の問題が存在する。我々は、提案した新模型の枠内において、レプトン数の非対称性を生成しバリオン数に変換することで、バリオン非対称性の問題も解決できる可能性があることを示した。
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