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2014 年度 実績報告書

CMB偏光観測からニュートリノ質量階層性に迫るための偏光角較正装置の開発

公募研究

研究領域ニュートリノフロンティアの融合と進化
研究課題/領域番号 26105519
研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

田島 治  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80391704)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードニュートリノ / 宇宙マイクロ波背景放射 / 偏光
研究実績の概要

ニュートリノの質量の絶対値測定と質量階層性の解明はニュートリノ研究のビッグテーマのひとつである。近年、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)偏光の小角度(0.1°のスケール)にわたる非対称パターン「重力レンズ効果Bモード」の精密観測によって、ニュートリノ質量の測定手法が注目されている。しかしながら、望遠鏡の偏光角較正精度を向上しないかぎり、ニュートリノの階層性に迫れる精度での観測は難しい。本研究はその精度を向上する偏光角較正システムを開発する。
幅広い観測周波数帯域にわたって較正を行うためには、CMBと同じ黒体偏光源を使うことが最良の手段である。従来は偏光天体や人工的に偏波を発生する装置を用いて較正が行われてきたが、どちらも黒体偏光ではない。さらに、天体カタログの精度、装置のアライメントに困難があった。そこで、本研究は申請者が過去に開発した「まばらな金属ワイヤーグリッド」を使った装置を発展させ、わずか一本の金属ワイヤーで較正する手法を開発する。これは世界初の試みである。
本年度は、プロトタイプ較正装置を作成し、チリ・アタカマ高地で実際に観測を行っているCMB望遠鏡にて偏光角の較正試験を行った。従来の較正手法で同時に較正できる検出器数はわずか1、2個であったが、本試験では数百個ある検出器を同時に較正することに成功した。角度測定に対する統計誤差も従来より桁違いに小さいことも確認した。年度末現在は、較正の要となる系統誤差を理解する解析が進行している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実際の望遠鏡を使用しての原理検証実験をおこなった。本研究の効果を定量評価する解析は進行中であるが、この試験は申請時には平成27年度に予定していたものであり、それを前倒しして行った為、おおむね順調に進展していると言える。また、本試験にあたり、申請時には予定していなかった新たなアイデアも検証することができた。

今後の研究の推進方策

平成26年度に行った試験実験から較正の系統誤差とその要因を見積もる。それをもとに、新たに試験実験プランを立て、試験実験を行い、系統誤差の向上を確認する。さらに、その結果をもとに達成されうるニュートリノ質量の測定精度を定量評価する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Development of Microwave Kinetic Inductance Detector for Cosmological Observations2015

    • 著者名/発表者名
      K. Karatsu, S. Mima, S. Oguri, O. Tajima et al.
    • 雑誌名

      IECE TRANS. ELCTRON.

      巻: E98-C, NO.3 ページ: 207-218

    • DOI

      10.1587/transele.E98.C.207

    • 査読あり
  • [学会発表] Angle calibration system for CMB telescope - quest for neutrino hierarchy using CMB polarization2014

    • 著者名/発表者名
      田島治
    • 学会等名
      新学術領域研究「ニュートリノフロンティア」研究会 2014
    • 発表場所
      富士Calm
    • 年月日
      2014-12-21 – 2014-12-23
    • 招待講演
  • [備考] KEK CMB Group

    • URL

      http://cmb.kek.jp/

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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