研究領域 | ニュートリノフロンティアの融合と進化 |
研究課題/領域番号 |
26105520
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
郡 和範 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (50565819)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ニュートリノ / 宇宙論 |
研究実績の概要 |
2014年度での主な成果は将来の21cm線観測を用いてニュートリノセクターのレプトン非対称性を検出する方法についての論文を発表したことである。ニュートリノセクターのレプトン非対称性は宇宙のレプトン数と関係がついており、宇宙のバリオン数生成の問題と深い関係があり、その検出は基礎物理学において極めて重要な意味がある。ニュートリノセクターのレプトン非対称性の存在は、宇宙論において2つの効果がある。宇宙のエネルギー密度を上昇させる効果と、ニュートリノのゆらぎを変えることに寄与することである。我々は、将来の21cm線観測で数年以内に稼働予定のSquare Kilometer Array (SKA)を用いることを提案している。また、相補的な観測として、宇宙背景放射(CMB)の偏光観測の情報を加えることにより、検出感度を上げられる事を指摘した。具体的にはKEKのCMBグループが推進しているPOLARBEAR II実験やSimons Array実験によるCMB偏光の情報を加えることにより、ニュートリノセクターのレプトン非対称性を精度よく検出できることを示した。この論文で得られた感度は、独立な検出方法であるビッグバン元素合成を用いた方法による感度より、一桁近く改善されており、非常に協力な方法であることが示された。従来の理解をくつがえす提案であることから、内外からの反響も大きい。また、上記の論文を含め、12本の関連する投稿論文を発表、20回の外部での講演を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
共同研究者である大山祥彦さん(総合研究大学院大学D3)、高橋智さん(佐賀大学准教授)、関口豊和さん(ヘルシンキ大)との連携がとどこおり無く行なわれたためである。高橋さんと関口さんは理論的なアイディアの提案をいただいた。大山さんには具体的なあらゆる計算を遂行していただいた。海外で離れていても、スカイプなどで頻繁にミーティングを開いて進捗状況を確認し合ったことで、能率的に進めることが出来たと分析している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も大山祥彦さん(2015年度から東大宇宙線研究所研究員)、高橋智さん(佐賀大学准教授)、関口豊和さん(ヘルシンキ大)との共同研究を中心に本研究計画を続けていく所存である。特に変更や問題点はありません。
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