研究領域 | ニュートリノフロンティアの融合と進化 |
研究課題/領域番号 |
26105521
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
長瀧 重博 独立行政法人理化学研究所, 長瀧天体ビッグバン研究室, 准主任研究員 (60359643)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高エネルギーニュートリノ / IceCube / 超新星残骸 / 粒子加速 / 銀河中心 / ガンマ線 |
研究実績の概要 |
南極で観測を続けるIceCube Collaborationは2013年4月、遂に大気ニュートリノ以外の起源と思われる2つのイベント(PeVニュートリノ)の検出を報告しました。これに引き続き、IceCube Collaborationは解析の続報を発信しました。これによると、更に地球外起源であろうイベント(TeV-PeVニュートリノ)が26個検出されました。更に興味深いことに、その到来方向をマッピングしてみますと、まだ有意性は低いものの(2-Sigma以下)、銀河中心付近からやってくるニュートリノイベントが特に多いようにも見えます。本研究は、この絶好のタイミングを捉え、高エネルギーニュートリノ起源天体を理論的に探る研究計画です。まず我々は銀河中心では超新星爆発頻度が高く、多くの超新星残骸が存在していることに着目しました。その上で特に巨大な超新星爆発「極超新星爆発」がこの高エネルギーニュートリノの起源天体であると予想し、その理論計算を行いました。我々はこれまでの超新星残骸研究で開発してきた非線形粒子加速コードを極超新星残骸に応用し、高エネルギー粒子がどれだけ極超新星残骸で生成されるかを評価しました。また得られた宇宙線が銀河中心エリアに存在するガスと相互作用し、どれだけ高エネルギーニュートリノ・ガンマ線を生成するかを拡散方程式を解くことにより評価しました。得られたニュートリノの結果をIceCubeのデータと比較し、一方ガンマ線についてはGeV-TeVガンマ線観測からの制限に抵触しないか、現在慎重な解析を行っています。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
極超新星残骸に於ける非線形粒子加速計算を実行出来ましたので、研究の第一段階をクリア出来たと考えています。また第二段階である宇宙線伝搬の拡散方程式による解法も、当初の予想以上に進み、初期の結果が出始めています。また研究を遂行中、UCLAのAlexander Kusenko氏, Haoning He氏が興味を同じくしていることが分かり、彼らの協力を得ることが出来るようになったことも研究の進展を早めています。以上の理由により、現段階に於いては当初の計画以上に研究は進展していると言えます。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では観測されているニュートリノだけでなく、ガンマ線観測の制限を同時に満たさなければならないため、非常に注意深い解析・検討が要求されます。今のところ計算は順調に進んでいますが、結果が観測と矛盾するような状況も今後出てくると想定されます。そのような場合、想定しているどの物理状況をどう変えれば観測と無矛盾な理論が構築出来るのか、今後は入念なフィードバックと再計算が必要になると想定しています。
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備考 |
研究室HPに年次報告あり。
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