公募研究
1)有機リン酸触媒を用いた環状エステルおよび環状カーボネートの無溶媒重合系の確立および触媒添加量の削減を目的に研究を行った。リン酸ジフェニル (DPP) を触媒に用いたカプロラクトンの無溶媒重合はリビング的に進行していることが明らかとなった。また、本重合系に最適な触媒量は開始剤に対して 0.05 当量であり、過去に報告された溶液重合系の 1/20 まで削減可能であった。さらに、同様の重合条件を 1,5-ジオキセパン-2-オン、バレロラクトン、およびトリメチレンカーボネートに適用した結果、いずれのモノマーを用いた場合でも重合はリビング的に進行した。従って、DPP を用いた環状エステルおよび環状カーボネートの無溶媒重合は脂肪族ポリエステルおよびポリカーボネートの合成に有用であることが明らかとなった。2)フォスファゼン塩基の一種である t-Bu-P4 とアルコールからなる開始系を用いた重合系を適用することで種々のグリシジルアミン類の精密重合を達成することを目的とした。アルコール/t-Bu-P4 開始系を用いたN,N-ジベンジルグリシジルアミンの重合は均一系で進行し、重合制御に初めて成功した。さらに本重合系の適用範囲を確認する目的で、モノマーとして N,N-ジアリルグリシジルアミン、N,N-メチルベンジルグリシジルアミン、4-グリシジルモルホリン、およびビス (2-メトキシエチル) グリシジルアミンを用いて同様の重合を行った結果、すべてリビング重合で進行することを明らかにした。3)キラルな有機分子触媒を用いたラセミラクチドやβ-ブチロラクトンのエナンチオマー選択重合を検討し、エナンチオマー選択性を確認した。また、メソラクチドの位置選択的な重合にも成功した。
2: おおむね順調に進展している
有機リン酸化合物やフォスファゼン塩基などの有機分子触媒を用いた新しいリビング重合系の開発やキラル有機分子触媒を用いた新規不斉選択重合系の開発を達成しており、おおむね順調に進展している。
今年度に引き続き、有機分子触媒を用いた新規モノマー(ジエン酸エステルやラクタムなど)のリビング重合系の開発と有機分子触媒を用いた低環境負荷な機能性高分子材料(リソグラフィー用材料や医用材料など)の開発を行う。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 謝辞記載あり 8件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 3件)
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