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2014 年度 実績報告書

キラルアミン触媒を用いる不斉アジリジン化を基盤とした生物活性化合物合成

公募研究

研究領域有機分子触媒による未来型分子変換
研究課題/領域番号 26105707
研究機関千葉大学

研究代表者

根本 哲宏  千葉大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (80361450)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード有機分子触媒 / アジリジン / 全合成 / カスケード反応
研究実績の概要

初年度目の研究概要は以下の通りまとめることができる。(1)スマニロールの触媒的不斉合成:キラルプロリノール誘導体を利用したアルファーベータ不飽和アルデヒドへの触媒的不斉アジリジン化反応を用いることにより、キラルテトラヒドロキノリン誘導体を高い光学純度にて合成したのち、数工程の変換を経ることでスマニロールの触媒的不斉合成に成功した。(2)アロサミゾリンの合成に関しては、キラルジアミン触媒を用いる2-シクロペンテノンの不斉アジリジン化反応によりキラルアジリジン体を合成したのち、アセテートアニオンによるアジリジンの開環、[2,3]-Wittig転位により不斉を転写した。続く数工程の変換によりアロサミゾリンの合成に成功した。(3)パクタマイシンの合成に関しては、アロサミゾリンの合成中間体をアジド求核剤で開環することでキラルジアミンユニットを構築したのち、エノンアルファ位へのヨウ素化に続くStilleカップリング、ニトリルオキシドを用いる1,3-双極子付加により3級アルコールを立体選択的に構築した。N-O結合の開裂により得られたメチルケトンを立体選択的に還元したのち、Rh触媒を用いるC-Hアミノ化反応を行うことで3級アミン部位を構築した。これにより、パクタマイシンの6つの不斉点のうち5点の不斉中心の構築に成功した。(4)有機酸を用いるフェノールのipso-Friedel-Crafts型付加を利用したカスケード反応の開発を行い、数種の複雑縮環状ヘテロ環状分子の合成に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までに触媒的不斉アジリジン化反応を用いることで、医薬品(スマニロール)、天然物(アロサミゾリン)の全合成に成功している。また、パクタマイシンの合成に関しては、5つ目までの不斉中心の構築を完了しており、合成の後半戦に突入している。研究計画の段階で、スマニロール、パクタマイシン、トレハゾリンの合成を計画し、結果としてトレハゾリンの構造類似体となるアロサミゾリンの合成にシフトした。1年間での全合成研究の成果として2つの化合物の全合成に成功していることを考慮すれば、概ね順調に進んでいると言ってよいと思われる。また、有機分子により促進される反応として、複雑な縮環状分子の合成法開発にも同時に取り組んでおり、3種のカスケード反応の開発に成功した。

今後の研究の推進方策

アロサミゾリンの合成に関しては、各工程の収率の改善、合成工程の最適化を行い、できる限り短工程で合成するための方法を確立する。パクタマイシンの合成に関してはまず、これまでに構築した合成ルートの問題点(1,3-双極子付加の収率、不斉中心のX線結晶構造解析による確認、保護、脱保護工程の削減)の解決を目指す。これらのポイントの解決後、残る最後の不斉中心の構築、並びに窒素上へのアリール基の導入を検討し、全合成を達成する。特に、終盤の工程は多くの官能基が密集する中での官能基変換や立体選択的反応が必要となるため詳細な検討を行う。有機酸により促進される反応系に関してはこれまでのラセミ体合成から光学活性体への合成への拡張を目指す。ターゲットとしては抗腫瘍活性の見られた縮環状分子の不斉合成法を開発し、医薬化学研究にも展開する予定でいる。

備考

謝辞の掲載はしたものの、課題番号を付記していないため有にチェックせず。27年度からは付記致します。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Enantioselective Synthesis of (R)-Sumanirole Using Organocatalytic Asymmetric Aziridination of an α,β-Unsaturated Aldehyde2014

    • 著者名/発表者名
      Tetsuhiro Nemoto, Minami Hayashi, Dashuang Xu, Akinari Hamajima, and Yasumasa Hamada
    • 雑誌名

      Tetrahedron: Asymmetry

      巻: 25 ページ: 1133-1137

    • DOI

      10.1016/j.tetasy.2014.06.018

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Construction of Divergent Fused-Heterocycles via an Acid-Promoted Intramolecular ipso-Friedel–Crafts Alkylation of Phenol Derivatives2014

    • 著者名/発表者名
      Takuya Yokosaka, Naoki Shiga, Tetsuhiro Nemoto, and Yasumasa Hamada
    • 雑誌名

      J. Org. Chem.

      巻: 79 ページ: 3866-3875

    • DOI

      10.1021/jo500308y

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synthesis of Nitrogen-Containing Fused-Polycyclic Compounds from Tyramine Derivatives Using Phenol Dearomatization and Cascade Cyclization2014

    • 著者名/発表者名
      Takuya Yokosaska, Tetsuhiro Nemoto, Hiroki Nakayama, Naoki Shiga, and Yasumasa Hamada
    • 雑誌名

      Chem. Commun.

      巻: 50 ページ: 12775-12778

    • DOI

      10.1039/C4CC04809A

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synthesis of 4,5-Fused Tricyclic Quinolines via an Acid-Promoted Intramolecular Friedel–Crafts Allenylation of Aniline Derivatives2014

    • 著者名/発表者名
      Yuta Suzuki, Tetsuhiro Nemoto, Shun-ichi Nakano, Zengduo Zhao, Yuta Yoshimatsu, and Yasumasa Hamada
    • 雑誌名

      Tetrahedron Lett.

      巻: 55 ページ: 6726-6728

    • DOI

      10.1016/j.tetlet.2014.10.010

    • 査読あり
  • [学会発表] Synthetic Studies of Pactamycin Using an Organocatalytic Asymmetric Aziridination2014

    • 著者名/発表者名
      Tetsuhiro Nemoto, Minami Hayashi, Yasumasa Hamada
    • 学会等名
      第2回有機触媒国際会議(兼)第7回有機触媒シンポジウム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-11-21
  • [学会発表] 触媒的不斉アジリジン化を鍵反応としたPactamycinの合成研究2014

    • 著者名/発表者名
      林みなみ、根本哲宏、濱田康正
    • 学会等名
      第40回反応と合成の進歩シンポジウム
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2014-11-11
  • [学会発表] 酸により誘起される分子内 Friedel-Crafts 置換反応を利用した 4,5位縮環型キノリン誘導体の合成2014

    • 著者名/発表者名
      鈴木雄太、吉松裕太、趙増奪、根本哲宏、濱田康正
    • 学会等名
      第40回反応と合成の進歩シンポジウム
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2014-11-10
  • [学会発表] フェノール誘導体の脱芳香化反応を利用した含窒素縮環分子の効率合成2014

    • 著者名/発表者名
      滋賀直樹、横坂卓也、根本哲宏、濱田康正
    • 学会等名
      第44回複素環化学討論会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2014-09-11
  • [学会発表] フェノール類の脱芳香化を利用した複雑分子の迅速合成2014

    • 著者名/発表者名
      中山弘貴、横坂卓也、根本哲宏、滋賀直樹、濱田康正
    • 学会等名
      第44回複素環化学討論会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2014-09-10

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公開日: 2016-06-01  

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