研究領域 | 有機分子触媒による未来型分子変換 |
研究課題/領域番号 |
26105712
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
草間 博之 学習院大学, 理学部, 教授 (30242100)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 有機光反応 / イミン / 光増感剤 |
研究実績の概要 |
本課題では、実用的な有機光反応の開発を最終的な目標に掲げ、反応させたい官能基の吸収帯をレッドシフトさせて低エネルギーの光で化学選択的な光励起を実現するための方法論の開拓を目指した研究、ならびに、これまで有用な光反応の報告がほとんど成されていないイミン類に着目し、イミンを利用した新規有機光反応の開発を目指した研究を実施した。 各種検討の結果、不飽和アルデヒドと適切なアミンとからイミン形成を行うと、その吸収帯が不飽和アルデヒドそのものよりも大きく長波長側にレッドシフトすることを確認することができた。また、このイミンに長波長の光を照射すると、アルデヒドそのものを励起した場合とは異なる反応が起こることを発見した。 また、イミンを利用した新規光反応の開発研究に関しては、シリル置換イミンを有機光増感剤の共存下で光照射を行うと、光有機一電子移動が進行することを見いだした。 これらの結果は、本研究課題の目的とする、長波長の光を利用した化学選択的有機光反応の開発、ならびにイミン類を利用した新規有機光反応の開発に向けて大変有用な知見であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、化学選択的有機光反応の開発のための新規触媒系の開拓を目指して検討を実施しているが、26年度の検討においては、研究目的達成に向けて重要な基盤となる、カルボニルの吸収帯をレッドシフトさせるための分子素子に関する基礎的知見を得ることができており、次年度の検討において新規な有機光反応の開拓が実現できる可能性を示すことができたと考える。 以上より、本研究課題は当初目的に照らしておおむね順調に進展しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度得られた知見を基盤として、多様なカルボニル化合物とアミンとの触媒的イミン形成、ならびに長波長の光によるイミン選択的光励起を実現すると共に、イミン類を活用した新しいタイプの有機光反応の開発に向けて精力的に検討を実施する予定である。
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