研究領域 | 有機分子触媒による未来型分子変換 |
研究課題/領域番号 |
26105722
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
間瀬 暢之 静岡大学, 工学研究科, 教授 (40313936)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 有機分子触媒 / 超臨界二酸化炭素 / ポリ乳酸 / 開環重合 / 機能化 / 求核触媒 / 塩基触媒 / ブレンステッド酸触媒 |
研究実績の概要 |
H24-25年度の公募研究において新たに見いだしたCO2可塑化重合法をさらに発展させ、「安全・安心・実用的なポリ乳酸合成」を達成するために、「有機分子触媒」と「超臨界二酸化炭素 (scCO2)」の特長を活かしたポリ乳酸合成手法を創製する。特に、以下の2つの課題について焦点を絞り、真に持続可能なモノづくり科学の実用化を目指す。1.実利用性に優れている高分子量ポリ乳酸合成を指向した多機能性有機分子触媒の開発 2.乳酸からの有機分子触媒的フロー型ポリ乳酸合成ならびにリサイクル手法の開発 平成26年度において以下の項目について研究を実施した。(a) scCO2中で有効に機能する多機能性有機分子触媒の開発:汎用性を向上するために高分子量化を検討したところ、分子量の低下が観察された。これはバックバイティングに起因する現象と推察される。課題解決の鍵は「求核性を向上しながら、scCO2中に溶解し、分子内反応を抑制する多機能性有機分子触媒の開発」であり、触媒部位、scCO2用界面活性部位、立体制御部位を同一分子内に有する有機分子触媒をデザイン・合成した結果、9-azajulolidine系触媒が反応性を向上しながら分子量7万を達成した。 (b) scCO2中有機分子触媒的高分子量ポリ乳酸合成:Mw = 10万を目標値とし、高分子量化を検討した。PPY触媒を基本骨格として、3,5位に置換基を有する触媒を合成したが高分子量化を達成できなかった。その代わりとして、従来、ポリ乳酸合成において問題となっていたポリ乳酸のエピメリ化について種々の有機分子触媒を用いて検討した結果、scCO2中でエピメリ化が抑制されることが明らかになった。さらにブレンステッド酸を触媒としたとき、反応性が向上し、エピメリ化が進行しないことが明らかとなった。よって、本手法により光学純度の高いポリ乳酸を有機分子触媒条件下で合成できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(a) scCO2中で有効に機能する多機能性有機分子触媒の開発(平成26年度達成) (b) scCO2中有機分子触媒的高分子量ポリ乳酸合成(平成26年度検討済み) 当初の計画にはない エピメリ化を伴わないscCO2中有機分子触媒的ポリ乳酸合成を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、以下の計画により、本研究課題を推進する。 (c) 乳酸からの有機分子触媒的フロー型ポリ乳酸合成 (d) ポリ乳酸の有機分子触媒的分解によるリサイクルシステムの構築 なお、26年度末にscCO2中有機分子触媒的環状ポリ乳酸合成を見いだしたので、これについても研究項目として加える。
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