研究領域 | 有機分子触媒による未来型分子変換 |
研究課題/領域番号 |
26105724
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
飯田 拡基 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (30464150)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高分子不斉触媒 / らせん構造 / 有機分子触媒 / イミダゾリジノン / ポリフェニルアセチレン |
研究実績の概要 |
光学活性なイミダゾリジノン誘導体を有するフェニルアセチレンとアキラルなイミダゾリジノン誘導体を有するフェニルアセチレンをそれぞれ合成し、混合比を変えてロジウム触媒により共重合することにより、組成比の異なるらせん構造を有する共重合体を合成することに成功した。円二色性スペクトル測定の結果、いずれの高分子も部分的に導入された光学活性なイミダゾリジノン側鎖のキラリティを反映して、一方向巻きに片寄ったらせん構造が誘起されたことが明らかとなった。キラルなイミダゾリジノン側鎖の触媒活性点を保護して触媒活性を消失させた共重合体を合成し、Diels-Alder反応における触媒活性および不斉選択性を検討したところ、アキラルなイミダゾリジノン側鎖に由来する触媒活性が観測され、30% ee前後の不斉選択性が発現することが明らかとなった。発現した触媒活性や不斉選択性は低いものの、ポリフェニルアセチレンに誘起されたらせんキラリティにより、側鎖に導入されたアキラルな触媒部位に不斉選択性を付与できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
キラルおよびアキラルなイミダゾリジノン誘導体を有する種々のホモポリマー・コポリマーを合成した。得られたらせん高分子のキラル光学特性や触媒活性を調べ、らせん構造に由来する不斉選択性が発現することを見出した。以上の結果から、当初目標は十分達成できたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
策定した研究計画に従い、27年度はこれまでに合成したらせん高分子の動的制御に焦点をあてて検討を行う。なかでも外部刺激に応答したらせんの構造制御やそれに伴う触媒活性、基質特異性、不斉選択性のスイッチングが可能かどうかについて、重点的に検討する。また、らせん高分子触媒側鎖の精密設計を通じて、より高活性かつ高選択的ならせん高分子触媒の開発も推進する。
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