研究領域 | 有機分子触媒による未来型分子変換 |
研究課題/領域番号 |
26105731
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
白川 誠司 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (60459865)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 不斉合成 / 有機分子触媒 / 精密有機合成 / 環境調和型反応 / グリーンケミストリー |
研究実績の概要 |
中性無機塩であるNaClやKBr等を効率的に活性化するためのキラル有機分子触媒として、ビナフチル骨格を有するポリエーテル型触媒を合成した。触媒骨格に水酸基を有する二官能性型触媒を、すでに報告されている方法を参考に合成した。また、水素結合供与基としてアミド基を導入した、新規二官能性ポリエーテル型触媒の効率的合成法を確立することに成功した。さらに、これらポリエーテル型キラル化合物と中性無機塩の錯体を触媒とした不斉合成反応の検討を開始している。一方、関連研究であるキラル中性有機塩を利用した不斉合成反応の開発では、中性有機塩触媒反応系における反応機構の詳細を明らかにした。具体的には、中性第四級アンモニウム塩を触媒とした反応系における触媒脂溶性の重要性や、溶媒としての水の重要性、また重水素化実験や第四級アンモニウ塩のカウンターアニオンの効果から、本中性塩触媒反応系ではアンモニウムエノラートが反応中間体として形成されていることを明らかにした。また、ここで得た知見を活かすことで、キラル中性有機塩とブレンステッド酸助触媒を組み合わせた新たな不斉合成反応系の開発にも成功した。具体的には、オキシインドール誘導体とマレイミド誘導体の不斉共役付加反応において、ブレンステッド酸助触媒を添加せず反応を実施すると副反応が起こり、目的生成物が低収率でしか得られない。一方、副生成物が形成される際の反応機構を考察し、本考察を基に副反応を抑制する目的でブレンステッド酸助触媒を添加すると、目的生成物の収率が大きく改善し、高収率、高立体選択的に生成物を与えることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の本題である中性無機塩を利用した反応系の開発では、触媒調製を終え、不斉反応への適用を開始したものの、有用な不斉合成反応の開発には未だ至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
関連研究であるキラル中性有機塩触媒を用いた不斉合成反応系開発で得た多くの知見を基に、不斉反応のさらなる検討およびこれを踏まえた有機分子触媒の改良を行なっていく予定である。
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