研究領域 | 有機分子触媒による未来型分子変換 |
研究課題/領域番号 |
26105736
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
雨夜 徹 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20397615)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 有機分子触媒 / レドックス / ポリアニリン / キノンジイミン / 酸素酸化 / クロスカップリング |
研究実績の概要 |
本研究では、π共役系分子のレドックス機能を活用する有機触媒システムの構築を目的としている。酸化反応としては、有機マグネシウム化合物の分子状酸素を末端酸化剤とするキノンジイミン化合物を触媒とする酸化的カップリング反応の開発を、還元反応としては、アレーンジアゾニウム化合物の還元的脱窒素化を減るアレーン化合物とのクロスカップリング反応の開発に取り組む。 有機マグネシウム化合物の分子状酸素を末端酸化剤とするキノンジイミン化合物を触媒とする酸化的カップリング反応の開発においては、反応機構を調査するために、THF-d8溶媒中で反応を行い、1HNMR実験により反応を追跡した。その結果、有機マグネシウム化合物の酸化的カップリングがキノンジイミン化合物により誘起されていることと、還元されたキノンジイミン化合物が分子状酸素により、再酸化されキノンジイミン化合物が再生していることが、明らかになった。 アレーンジアゾニウム化合物の還元的脱窒素化を減るアレーン化合物とのクロスカップリング反応の開発においては、触媒量の還元型ポリアニリンの存在下、種々のアレーンジアゾニウム化合物とヘテロアレーンが良好な収率でクロスカップリングすることを見出した。一方、ヘテロアレーンの代わりにアレーン類を用いると収率は低下した。アレーンジアゾニウム化合物としては、電子吸引基を有するものが、ヘテロアレーンとしては、電子豊富なものが、本反応に適していることも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、π共役系分子のレドックス機能を活用する有機触媒システムの構築を目的としているが、酸化反応と還元反応の両方において、我々の設計した有機分子を触媒量用いた反応が進行することを見出しているため。
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今後の研究の推進方策 |
有機マグネシウム化合物の分子状酸素を末端酸化剤とするキノンジイミン化合物を触媒とする酸化的カップリング反応においては、反応の基質依存性を調べる。アレーンジアゾニウム化合物の還元的脱窒素化を減るアレーン化合物とのクロスカップリング反応においては、反応機構を調査する。
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