公募研究
申請者は、二核バナジウム触媒や酸塩基有機分子触媒などの多機能不斉触媒の開発に成功している。本触媒を2-ナフトールのホモカップリング反応やエノンとカルボニル化合物との炭素-炭素結合形成反応である森田-Baylis-Hillman(MBH)反応に適用すると高効率で反応が進行する。触媒を構成する複数の活性化部位による基質の多点配向制御が重要な役割を担っており、酵素的作用機序を持つ触媒として数多くの知見を得ている。本研究では、基質の活性化に金属を必要としない高活性な多機能酸塩基有機分子不斉触媒を創製と、開発した触媒を用いてMBH反応を基盤とする不斉ドミノ反応を開発を行った。医薬品原料や生物活性天然物の母格となる多置換・多官能性キラル有機化合物群の安全で効率的かつアトムエコノミカルな合成法の確立を目指した。反応基質の活性化に金属を用いずに二重活性化機構で反応を促進する不斉触媒の開発に取り組み、aza-MBH反応に有効な多点制御型不斉有機分子触媒の開発に成功した。触媒内に適切に配置した有機官能基のブレンステッド酸とルイス塩基部位が協調的に基質を活性化することで効率的に反応を促進することを突き止めた。aza-MBH反応の生成物は高度に官能基化されたβ-アミノ酸誘導体であるため、高活性な金属触媒を使用した場合、生成物との副反応など反応制御が難しく、ドミノ反応への展開は困難であった。研究の結果、これまで報告例のなかった不斉aza-MBH型ドミノ反応の開発に、穏和な条件下で官能基選択的に反応を促進可能な多点制御型有機分子触媒を適用することで、医薬資源として有用な多置換・多官能性化合物を高立体選択的かつ簡便に合成することに成功した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 謝辞記載あり 8件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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