研究領域 | 有機分子触媒による未来型分子変換 |
研究課題/領域番号 |
26105747
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
畑山 範 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (20143000)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 有機触媒 / 不斉反応 / シンコナアルカロイド |
研究実績の概要 |
本研究では、最近キニーネからの1段階合成法を開発したα-イソクプレイン (α-ICPN) を誘導体化し、β-イソクプレイジン (β-ICD) と相補的な触媒能を発揮するent-β-ICD型触媒を新たに創出することを目的としている。また、β-ICD、α-ICPNおよび他の関連触媒を活用し、重篤な身体障害を引き起こす感染症であるリンパ性フィラリア症の治療薬開発のリードとして期待されるチランダマイシン類天然物とテルモリド類天然物の効率的な合成法を開発する。本年度の研究においては、α-ICPNのフェノール部に、CCl3C(=O)N(=O)-、S-およぶR-2-フェネチル基、ベンゾイル基を導入した誘導体を合成し、ベンズアルデヒドとの森田-Baylis-Hillman反応を指標にその触媒活性を調べた。その結果、最初のものが化学収率及びエナンチオ選択制ともに良好な結果を与え (83%、87% ee)、β-ICDの擬エナンチオマーとして機能する新たな触媒を見出すことができた。一方、天然物合成に関しては、β-ICDとα-ICPNを触媒とする不斉森田-Baylis-Hillman反応を活用するポリプロピオナート構造単位の立体制御構築法に基づく一般合成法を開発し、チランダマイシンA-Dの不斉全合成を達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
α-イソクプレイン (α-ICPN) のフェノール部の修飾により、当初目的としたβ-イソクプレイジン (β-ICD) と相補的な触媒能を発揮するent-β-ICD型触媒を新たに見出した。加えて、β-ICDとα-ICPNを触媒とする不斉森田-Baylis-Hillman反応に基づくポリプロピオナート構造単位の立体制御構築法を開発し、チランダマイシンA-Dの不斉全合成を達成した。その結果、殺フィラリア活性を有することで医薬開発の点から注目を集めているチランダマイシン天然物の一般合成法を開発できた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの所研究計画の変更は特にない。反応条件の詳細な検討により収率、選択性等の改善を図りつつ新たな不斉触媒の探索とテルモリド類天然物について新たに全合成を推進する計画である。
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