研究領域 | ナノ構造情報のフロンティア開拓-材料科学の新展開 |
研究課題/領域番号 |
26106510
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
志賀 元紀 岐阜大学, 工学部, 助教 (20437263)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 材料設計 / 機械学習 / 教師あり学習 / 非負値行列分解 |
研究実績の概要 |
ナノスケールの計測技術および第一原理計算に基づく生成エネルギー計算技術をはじめとしてナノ構造解析の周辺分野が目覚ましく進展している。このような技術に基づき、様々な元素および結晶構造の膨大な組み合わせに対して、それぞれ物理特性や材料特性が計測・計算されている。こうした状況において、新規の材料設計のために、現在所有するデータから有用な情報の効率的な抽出、また、未知材料の特性値を予測するデータ解析法に対する期待が高まっている。本課題では、機械学習法を用いて、以下の2つの課題に取り組んだ。 (1)未知材料の物性値予測のための統計的機械学習法 化合物の物性値と材料特性を帰納的に予測する手法を開発し、新規リチウムイオン正極材料などの効率的材料探索への応用を目的としている。第一原理計算に基づく理論計算結果を目的変数として、元素固有や結晶構造の特徴量を説明変数として、未知の材料の物性値を予測する手法を研究している。そのための基礎手法として、重要な説明変数を選択する手法や、原子間距離および電気特性を用いた特徴量の設計を試みた。 (2)STEM-EELS計測データに基づく元素構造状態マッピング 走査透過型顕微鏡によってナノスケールのステップ幅で指定した領域内の電子エネルギー損失を測定できる分光法(STEM-EELS)が発達している。新学術領域の計画班の武藤俊介教授(名古屋大学)らと共に物理的な制約を導入する非負値行列分解法を研究しており、これにより膨大なサイズのSTEM-EELSデータから、電子エネルギー損失のスペクトル分解および元素構造状態マッピングをする手法を開発した。開発法の特色は、直交制約の導入によって成分間の重なり度合いを調節できること、スペクトラルの滑らかさを仮定し雑音成分を抑えられることである。これらの研究成果を日本金属学会 2014秋期講演大会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
連携研究者と共に材料設計におけるデータ解析を始め、一部のデータに対して機械学習法を適用した。また、新学術領域の計画研究班と新たに共同研究を立ち上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、結晶構造から物性値を予測する機械学習法の開発、および、走査型電子顕微鏡データから元素構造マッピングする手法の開発を行う。必要に応じて、連携研究者および領域内の共同研究者から実データを提供していただき、実応用に有用な手法を開発し、学術論文にまとめる予定である。
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