研究領域 | 超高速バイオアセンブラ |
研究課題/領域番号 |
26106710
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鷲津 正夫 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10201162)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マイクロ・ナノデバイス / 移植・再生医療 / バイオリアクター / 細胞組織 / 細胞シート / 微細加工 |
研究実績の概要 |
細胞集合体である臓器の多くでは,異種の細胞が層状の構造を作り,それを通した物質の輸送が本質的役割を果たす。このような層状細胞構造の構造や,それを組み立てることにより得られる3次元形状を実現するため,申請者らは,フォトリソグラフィーにより作製されたマイクロメッシュをスカフォールドとして用いる細胞培養法を開発した。すなわち,培養液中に宙づりとなった太さ数ミクロン,間隔数百ミクロンのマイクロメッシュに細胞を播種すると,ちょうど木枠に紙の障子を貼ったような,細胞のモノレイヤーが得られるという発見に基づき,それを養蜂箱のようにスタックすることによる大量培養,その上に他種細胞を播種することにより作製する細胞重層構造などの手法の開発を行った。 本年度の研究では,特に,異方性のメッシュパターン(たとえば菱形)を用いると,そのパターンの長軸方向に細胞が配向されることを発見した。これを用いて,筋芽細胞を配向し,それに分化誘導することにより,一方向に向きをそろえた筋管細胞を得ることに成功した。また,シリコンゴム性の変形可能なメッシュを制作,これを用いて筋芽細胞にストレッチをかけ,分化や配向に対する影響の調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
異方性のメッシュパターン(たとえば菱形)を用いると,そのパターンの長軸方向に細胞が配向されることを発見した。これを用いて,筋芽細胞を配向し,それに分化誘導することにより,一方向に向きをそろえた筋管細胞を得ることに成功した。また,シリコンゴム性の変形可能なメッシュを制作,これを用いて筋芽細胞にストレッチをかけ,分化や配向に対する影響の調査を行いつつある。これら細胞にダイナミックな外部刺激を与えることは,当初の計画を超えるものである。
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今後の研究の推進方策 |
配向をそろえた筋細胞に関しては,カルシウム伝搬の観察を行い,信号伝達経路の形成の観察を行う。細胞の多層化に関しては,2枚の細胞シートを貼り合わせる方法,1枚のシートの上に他種の細胞を播種する方法,2種の細胞を混合して播種し自発的な分極に期待する方法などを試みる。また,ヒトiPS細胞がトロフォブラストに分化するという現象に関しては,RT-PCRなどを用いて,そのメカニズムに関し探求を行う。
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