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2014 年度 実績報告書

磁気細胞操作技術による高速3次元細胞システム構築

公募研究

研究領域超高速バイオアセンブラ
研究課題/領域番号 26106719
研究機関九州大学

研究代表者

井藤 彰  九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60345915)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードナノバイオ / 磁性ナノ粒子 / 三次元生体組織 / 再生医療
研究実績の概要

平成26年度は主に以下の研究課題に関して研究を行った。

①血管新生因子遺伝子の発現システムの開発:血管新生遺伝子として、VEGFとANG1に着目した。VEGFとANG1は強力な血管新生誘導因子であるが、体内で細胞にVEGFを持続的・構成的に発現させると、新生した血管の透過性が過剰となってしまうという報告がある(Zangi et al. Nat Biotechnol. 31, 898-907, 2013)。一方、ANG1の発現はVEGFの血管透過性亢進を妨げる。平成26年度は、HSP70B’プロモーターを基にした合成生物学的アプローチによって、温度上昇を引き金に、一過性に高発現するシステムを含む遺伝子回路(VEGF用)と、一度スイッチが入ると持続的に高発現する遺伝子回路(AN1用)をそれぞれ設計・作製した。さらに、レトロウイルスベクターを用いてHeLa細胞に導入し、加温後にレポーター遺伝子の発現解析を行うことで、それぞれの遺伝子発現システムの構築に成功した。
②磁性ナノ粒子を用いた加温法の開発:磁性ナノ粒子は交流磁場で発熱するため、磁性ナノ粒子を細胞内に導入することで、磁場をスイッチとしてHSP70B’プロモーターを介した遺伝子発現誘導が可能となる。平成26年度は、遺伝子工学的な新しいアプローチとして、鉄貯蔵タンパク質であるフェリチンの遺伝子に着目して研究を行った。フェリチン遺伝子をサブクローニングしてレトロウイルスベクターに搭載し、HeLa細胞に導入した。48時間後にベルリンブルー鉄染色を行ったところ、細胞が青く染色された。また、遺伝子導入細胞を集めてペレットとして、交流磁場を照射したところ、ペレットの発熱がみられた。これらの結果から、フェリチン遺伝子を用いたアプローチによって、細胞を加温することが可能であり、治療遺伝子の発現をコントロール可能であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

遺伝子のサブクローニングや、遺伝子導入細胞株の取得に時間がかかったため、やや進行が遅れていると考える。

今後の研究の推進方策

今後、申請書の実験計画に基づいて研究を推進するが、合成生物学的なアプローチの検討が成功し始めているので、合成生物学的な検討の比重を高めていくこととする。具体的には、以下の3つの課題を最終年度である平成27年度に行うことで、本研究をまとめる。
①血管新生因子遺伝子の導入:平成27年度は、血管新生因子遺伝子であるVEGFとANG1を用いて、それぞれ、一過性に強く発現する遺伝子回路と、一度スイッチが入ると強く持続的に発現する遺伝子回路に導入して、細胞に遺伝子導入し、熱ショックを引き金に一過性でVEGFを高発現し、ANG1を持続的に高発現させるシステムを構築する。
②磁性ナノ粒子を用いた加温法の開発:磁性ナノ粒子の発熱を治療遺伝子発現の引き金として利用する一方で、熱が細胞死を誘導してしまったら、再生医療にはデメリットとなる。そこで、磁性ナノ粒子の添加量と磁場照射時間を変えて検討することで、細胞死を誘導しない発熱条件を模索する。さらに、遺伝子工学的アプローチとして、フェリチン遺伝子を用いた方法の検討を進める。現時点で、細胞内磁性粒子濃度が低いのは、細胞内への鉄イオンの取り込みが十分でないからだと考えられる。細胞への鉄供給方法を検討することで、十分な細胞内鉄濃度を達成する。
③組織の移植と機能評価:上記①と②をin vitroで完成させた後に、in vivoの検討を行う。磁性ナノ粒子と治療遺伝子を含む繊維芽細胞を、血管内皮細胞とともにMag-TE法で三次元組織化し、それをヌードマウスに移植して、外部から磁場照射を行う。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 学会発表 (3件) 備考 (2件)

  • [学会発表] 磁性ナノ粒子を用いたティッシュエンジニアリング2015

    • 著者名/発表者名
      井藤 彰
    • 学会等名
      新学術領域バイオアセンブラ第8回公開シンポジウム
    • 発表場所
      東京大学本郷キャンパス
    • 年月日
      2015-03-24 – 2015-03-24
  • [学会発表] 低酸素応答型細胞センサーの開発2014

    • 著者名/発表者名
      佐藤 智詠, 井藤 彰, 河邊 佳典, 上平 正道
    • 学会等名
      化学工学会第46回秋季大会
    • 発表場所
      九州大学伊都キャンパス
    • 年月日
      2014-09-17 – 2014-09-19
  • [学会発表] DNAダメージ誘導型遺伝子発現システムを用いた細胞センサーの開発2014

    • 著者名/発表者名
      小野章彦、小野 章彦, 井藤 彰, 鈴木 大雅, 山口 雅紀, 河邉 佳典, 上平 正道
    • 学会等名
      第66回日本生物工学会大会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2014-09-09 – 2014-09-11
  • [備考] 九州大学研究者情報

    • URL

      http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K002906/

  • [備考] 九州大学工学研究院化学工学部門上平研究室HP

    • URL

      http://www.chem-eng.kyushu-u.ac.jp/lab3/index.html

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公開日: 2016-06-01  

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