四重極電極を用いた誘電泳動により,細胞および微粒子の海島状パターンを作製した.標的の表面抗原に対する抗体を固定化した微粒子およびCD33陽性のHL-60細胞を,負の誘電泳動(n-DEP)により四重極電極の格子点に集積化した.この状態を3分間保持すると,免疫反応により細胞-微粒子の複合体を形成できた.異なる抗体を微粒子に固定化した場合およびCD33陰性の細胞を用いた場合,電圧印加を停止すると集積化した細胞と微粒子は再分散状態に戻った.よって,迅速で簡便に細胞群に発現する抗原を識別できることが示せた. 集積用電極および分離用電極から構成される流路デバイスを作製した.細胞分離用電極にはバンドアレイ電極および四重極電極を用いた.細胞集積用電極を用いて細胞を流路の片端側に流すことができた.さらに,分離用電極により細胞のサイズ別に流れる位置を制御して分離できた.サイズの大きな細胞はn-DEPの反発力により流路の側面側へと移動しながら下流へと流れ,サイズの小さな細胞は電極間ギャップを通過して下流へと流れた.また,分離時の電圧強度依存性を評価し最適化を行った. マイクロ電極をプローブとした電気化学顕微鏡を用いて細胞に発現する抗原量を測定した.細胞を酵素(グルコース酸化酵素)修飾微粒子でラベルし,誘電泳動により表面抗原発現細胞をマイクロウェルアレイ内に捕捉した.グルコース酸化酵素の基質であるグルコースの存在下において生成される過酸化水素の酸化電流をマイクロ電極で検出することができた. マイクロ電極を用いた誘電泳動により,単一細胞の捕捉,任意移動,再配置が可能な誘電泳動ピンセットを開発した.細胞群の中から目的細胞に電極を近接させ,正の誘電泳動により電極先端に捕捉した.また,n-DEPを用いると電極に捕捉された細胞をその位置に再配置できた.この操作を繰り返し細胞の配列体を作製できた.
|