公募研究
本研究の目的は、研究代表者らが開発してきた3次元走査型光電子顕微分光装置"3DnanoESCA"の高い空間分解能(<100nm)と非破壊状態分析可能性という強みを活かして、原子層材料や原子層デバイスの異種接合界面や原子層面内不均一性の解析を行い、マクロな機能特性への影響を調べることである。初年度は原子層デバイスを動作中オペランド分析できるよう装置改良し、実際にグラフェン電界効果トランジスタの動作中チャネル内ピンポイント分析を成功させた。最終年度であるH27年度は、以下に挙げるように新学術領域内外にわたる共同研究を展開し、3DnanoESCAを種々の原子層デバイス分析に活用した。(1) グラフェン・遷移金属ダイカルゴゲナイド超薄膜トランジスタ…単原子層物質であるグラフェンや数原子層膜厚の二硫化モリブデンを剥離法によって作製し、チャネルとして用いた電界効果トランジスタについて、ゲート電圧を印加した状態で、輸送特性測定とチャネル内ピンポイント分光測定を同時に行い、チャネル/電極界面近傍のチャネル分布を明らかにした。(2) 紫外線照射酸化グラフェン…単層グラフェンの電界効果トランジスタ構造に、風ゲート電圧印加下で紫外線照射するとエッジ付近で選択的に酸素吸着してエッチングが進むことが知られており、紫外線照射に伴うグラフェンチャネル内の酸化状態の空間不均一性についてnanoESCAでマッピング分析を行った。その結果、炭素と酸素のコアレベルスペクトルから4つの段階的な酸化状態が存在することが示された。(3) 原子層触媒…窒素ドープHOPGの表面酸素吸着量解析、BN単層ナノシート触媒の価電子帯空間状態分析、La2Ti2CuSO7など人工光合成触媒ナノクラスターの面方位による触媒活性変化の分析などを行った。上記の成果により、H27年度中に論文・解説を2本出版し(5本投稿中および執筆中あり)、10件の学会発表(うち招待講演4件)を行った。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)
表面科学
巻: 37 ページ: 25-30
10.1380/jsssj.37.25
Applied Physics Letters
巻: 106 ページ: 251604
10.1063/1.4922902