公募研究
「ナノシート」とは究極的な厚みが単原子層に達する二次元高分子を指す。グラフェンなど層状化合物を母体とする「トップダウン型」ナノシートが新しいナノ材料として注目を集めている。一方で有機分子・金属イオンなどからナノシートを直接紡ぎ上げる「ボトムアップ型」ナノシートがここ10年間で勃興してきたが、現状では二次元構造の構築に留まりナノ材料としての有用性を示した例は存在しない。本年度は半導体材料などへの応用が期待される、ジチオレン金属錯体ナノシートのバリエーションの拡張を行った。ニッケルイオンをより重元素のパラジウムに置き換えたナノシートの合成を行い、ペレット化したサンプルについて2.8x10^-2 S/cmという導電性の値を得た。また硫黄を他元素へと置換したナノシートの構築にも取り組んだ。一方、金属錯体ナノシートのもう一つの構成要素である、有機配位子の構造を根本的に見直したナノシートの構築にも取り組んだ。その結果、光電変換機能、光ホスト機能などを見出した。今年度の成果には間に合わなかったが、後半の公募班員として参画できれば、これらの成果が花開くと期待される。なお、これらの新ナノシートの研究に関しては、領域内共同研究として行った。また一部は国際共同研究でもある。新規材料としての「ナノシート」開発が文科省の平成26年度戦略目標に設定されるなど、ナノシートの重要性・注目度は近年飛躍的に増大している。魅力的な物性を有し, ナノ材料として機能する「ボトムアップ型」ナノシートを提案できれば学術界のみならず産業界から注目を集めることは想像に難くない。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件、 謝辞記載あり 11件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 8件、 招待講演 14件)
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