公募研究
本研究の目的は、原子層表面と吸着分子・原子の電子的相互作用を分光学的にナノスケールで解明し、新奇なナノ物性を開拓することである。本年度は、前年度に構築した近接場分光学計測と同時に近接場力学計測を同時に行うハイブリッドナノ計測手法を用いて二硫化モリブンデン単原子層に金属原子を吸着させた際の二硫化モリブンデンのラマン散乱の変化を測定・解析した。銀薄膜を二硫化モリブンデン表面に物理吸着させると、PLおよびラマン散乱が20倍程度増強されることがわかった。一方、多層の二硫化モリブンデン表面に銀薄膜を吸着させた場合は増強効果は観測されなかった。これは、単層と多層表面において銀の塗れ性が異なるため、銀の島状構造に差異が生じたためであることがわかった。さらにこの銀薄膜上にチオフェノール分子を化学吸着させてその表面増強ラマン散乱を測定した結果、単原子層―銀のハイブリット構造上でのみ表面増強ラマン効果が観測された。また、銀をコートした原子間力顕微鏡探針を二硫化モリブンデン単原子層表面に近づけながらそのPLの変化を観測した結果、銀が単原子層表面に吸着する際のPL増強ダイナミクスを測定した。前年度に引き続き、層状の金属酸化物である三酸化モリブデンのラマン分光・イメージング分析を行った。メタノール分子を吸着させてホルムアルデヒドへの部分酸化反応中のラマン散乱および可視吸収スペクトルの変化を観測した結果、エッジ部位に三酸化モリブデンの触媒効果が増強されることが分光学的に示された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
2D Materials
巻: 2 ページ: 035004 1-6
10.1088/2053-1583/2/3/035004