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2014 年度 実績報告書

蛍光寿命イメージングを用いた細胞内イオン濃度の動的変化の解明

公募研究

研究領域ナノメディシン分子科学
研究課題/領域番号 26107701
研究機関東北大学

研究代表者

中林 孝和  東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (30311195)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード蛍光寿命 / pH / 細胞 / 機能性色素
研究実績の概要

蛍光寿命画像の測定には時間がかかることが多く,光退色によって蛍光強度が減少し信号雑音比が低下することが問題であった.今回,光退色に強い色素として近年報告されたローダミン色素誘導体を用いて,蛍光寿命を用いた媒質のpH検出を検討した.蛍光強度はpHの増加に対して減少し,蛍光強度の強いプロトン付加体と蛍光強度の弱い脱プロトン体の酸塩基平衡によって説明されている.470 nmを励起光とし,60 psの装置関数で蛍光減衰曲線のpH依存性を測定した.蛍光減衰曲線はpHによって大きく変化し,ピコ秒の蛍光寿命を持つ成分とナノ秒の蛍光寿命を持つ成分の2成分の割合がpHによって変化した.酸性領域ではナノ秒の蛍光寿命成分が,中性からアルカリ性領域ではピコ秒の蛍光寿命成分が主成分となった.蛍光スペクトルとの比較から,ナノ秒の蛍光寿命成分がプロトン付加体,ピコ秒の蛍光寿命成分が脱プロトン体に帰属できる.蛍光減衰曲線を一次から三次の指数関数を用いて再現し,平均蛍光寿命をpHに対してプロットした.pHが5から7において,平均蛍光寿命の顕著な変化が観測された.平均蛍光寿命のpH依存性は検量線となり,蛍光寿命を用いて緩衝溶液中のpHが求められることがわかった.次にローダミン色素誘導体で染色されたHeLa細胞の蛍光寿命イメージング測定を行った.画像の各点において時間相関光子計数法を用いて蛍光減衰曲線を測定し,多成分の指数関数によって減衰曲線を解析して蛍光寿命の画像化を行っている.HeLa細胞中での蛍光減衰曲線は2成分で再現することができ,緩衝溶液中とは異なる値であった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

pH感応性色素をはじめとする様々な機能性色素の蛍光寿命測定を行い,蛍光寿命を用いた環境計測・生体物質の高感度計測を提案している.また,複数のグループとも共同研究を行っており,おおむね順調に進展していると判断した.

今後の研究の推進方策

緩衝溶液中のみではなく,細胞内での測定をさらに進め,蛍光寿命を用いた細胞内環境計測法を提案する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] DNA G-quadruplex detection system employing a protein fibril ligand2015

    • 著者名/発表者名
      R. Maeda, H. Yaku, T. Nakabayashi, T. Murashima, N. Sugimoto, N. Ohta, D. Miyoshi
    • 雑誌名

      Telomere and Telomerase

      巻: 2 ページ: e691

    • DOI

      10.14800/tt.691

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 蛍光寿命イメージングを用いた細胞計測:寿命変化の機構解明2014

    • 著者名/発表者名
      中林孝和
    • 学会等名
      日本光学会年次学術講演会
    • 発表場所
      筑波大学東京キャンパス文京校舎
    • 年月日
      2014-11-05 – 2014-11-07
    • 招待講演

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公開日: 2016-06-01  

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