研究実績の概要 |
1.WBAによる自然免疫応答評価:ナノ核酸デバイスをセンス鎖中央部分 (siR1)、アンチセンス鎖5’末端部分 (siR2, 4ほか) ならびにセンス鎖5’末端部分 (siR3, 5ほか) に導入したsiRNAを調製した (12種類、計24本)。これらについてWBAを行い、自然免疫応答変化をIL-8の誘導量を指標にして定量評価した。その結果、siR1, 2および4においては顕著なIL-8誘導量変化が観察されないのに対し、センス鎖5’末端付近に3Br-deAを導入したsiR3および5では自然免疫応答の増強が観察された。この結果は先に著者らが行なったTLR3との相互作用解析により得られたものとは異なる。しかし、その傾向に一般性が見られたことから、さらなる自然免疫応答誘導パターン認識受容体との分子認識機構の理解が求められることが示された。 2.WBAにより観察された自然免疫応答変化をもたらす鍵となるパターン認識受容体を同定すべく、ナノ核酸デバイスを用いた光ラベル化法を検討した。これまでに報告された核酸とタンパク質の相互作用を解析する方法として、ピリミジン塩基の5位に臭素あるいはヨウ素原子を有した5-Bromo (5-Iodo) uridineを利用し、これに光照射を行なうことにより生じたラジカルを介して標的を補足する手法が知られている。著者らが開発したナノ核酸デバイスにおいても同様の光照射による標的補足が可能であると期待し、まずはヌクレオシドレベルでの検討を行なった。しかし、5-iodo uridineが5分以内にラジカルを生じる条件においても7-Br-7-deazaA (7Br-deA) および3Br-deAからはラジカルの発生が確認されなかった。そこで、臭素原子の代わりにトリフルオロジアジリン基を導入した新しいナノ核酸デバイスを設計し、その合成について検討中である。
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