研究領域 | ナノメディシン分子科学 |
研究課題/領域番号 |
26107715
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
原田 敦史 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50302774)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2016-03-31
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キーワード | 超音波力学療法 / ナノカプセル / 細胞内分布制御 / 音増感剤 |
研究実績の概要 |
カチオン性ナノカプセルに内封する音増感剤として、カチオン性化合物に関するリリース抑制が確認されていることから、rhodamine 6G(Rh6G)とdoxorubicin(DOX)を選択した。Rh6Gは細胞質全体に分布し、DOXは核に局在することが知られている。そこで、光線力学療法においては一重項酸素がミトコンドリアにダメージを与えることが殺細胞効果の誘導において重要であることが報告されているので、DOX分子にミトコンドリア指向性を付与するためにトリフェニルホスホニウム(TPP)基を導入することを検討した。 縮合剤を用いてTPP基及びCOOH基をもつ化合物をDOXと反応させることによりDOX-TPPを得た。構造の確認は、1H及び13C NMRによって行った。得られたDOX-TPPとDOXの細胞内分布の違いを検討するために、HeLa細胞に両化合物をそれぞれ播種しレーザー共焦点顕微鏡による観察を行った。DOXの場合、1時間後では細胞質に分布しているものもみられるが、核内に分布しているものも見られた。一方、DOX-TPPでは、細胞質にのみ赤色蛍光が観察され、核にも分布していないことが確認された。今後、より長時間培養した際の両化合物の細胞内分布の評価を行う必要があるが、TPP基の導入により細胞内動態を変化せることがかのうであることが示唆された。DOX、DOX-TPP及びRh6Gについて超音波照射時一重項酸素生成能をsinglet oxygen sensor greenを検出プローブとして用いて評価した結果、これらの化合物は一重項酸素生成能を有し、その程度が同程度であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
音増感剤として知られている化合物へのミトコンドリア指向性付与による音増感剤としての機能の低下、消失が懸念されたが、指向性付与後においても音増感能に変化が生じていないことが確認された。また、同程度の音増感剤として機能を有し、細胞内分布が異なる化合物が得られており、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
新規に開発した音増感剤のナノカプセルへの封入が問題となると考えられるが、これまでに種々化学特性の化合物の封入を検討しており、その知見を活かすことにより計画通り研究を進めることができると考えられる。
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