研究領域 | ナノメディシン分子科学 |
研究課題/領域番号 |
26107719
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
岩崎 泰彦 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (90280990)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 糖鎖 / 表面修飾 / ヒドロゲル / 細胞接着 / DDS / セレクチン / PSGL-1 / 遊走 |
研究実績の概要 |
26-1 N-アセチルマンノサミン誘導体による細胞内糖鎖合成の可視化 D-マンノサミン塩酸塩またはD-グルコサミン塩酸塩とNBD-Clを反応させ蛍光化アミノ糖NBDMとNBDGをそれぞれ合成した。モデル細胞としてヒト子宮頸癌細胞(HeLa)を使用し、NBDGとNBDMの毒性をCCK-8キットを用いて評価した。その結果600nM以下の終濃度では細胞の生存に影響を及ぼさなかったため、以降の実験では蛍光化アミノ糖の終濃度を600nMと設定し、可視化実験を行った。NBDMとNBDGをHeLa細胞に接触させ、細胞を経時的に観察したところ、いずれのアミノ糖も細胞内に取り込まれたが、NBDGの取り込み速度がNBDMに比べ著しく大きいことがわかった。蛍光アミノ糖の細胞内分布においても蛍光アミノ糖の構造によって若干異なる蛍光が認められた。 26-2 細胞膜成分を担持させたナノゲルと細胞との相互作用 重合性基を糖鎖に誘導した細胞を集めた容器に,所定の界面活性溶液を添加し,細胞を溶解した。この溶液に,所定濃度2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)と水溶性の架橋剤を添加し,震盪しながらレドックス重合し、細胞由来糖タンパク質を含有したナノゲルの調製に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
26年度では、細胞内イメージングのための新たな蛍光プローブの作成と薬物輸送担体を指向したナノ粒子の調製について検討することを計画した。これまでに糖タンパク質を含有したナノ粒子の蛍光化アミノ糖の合成に成功し、細胞内イメージングの実験に着手することができた。また、糖タンパク質を複合化したナノ粒子の合成にも成功し、おおむね当初の計画通りに研究を遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
26年度で合成した蛍光化アミノ糖を用い、細胞内糖鎖合成の可視化を行う。この時、アミノ糖の構造に起因する特異性を明らかにする。一方、糖タンパク質を担持したナノ粒子の標的指向性を、in vitroで作成した炎症モデルを用いて評価する。また、このナノ粒子に薬剤を担持し、DDSキャリアとしての有用性を見出す。
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