研究領域 | 宇宙における分子進化:星間雲から原始惑星系へ |
研究課題/領域番号 |
26108504
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松田 欣之 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助教 (70400223)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2016-03-31
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キーワード | 水クラスター / 振動分光 / 真空紫外光イオン化 / 水和クラスター |
研究実績の概要 |
本課題研究対象である水クラスターをイオン化できる水銀蒸気を媒体とした真空紫外光源を開発した。また反応生成物をすべて観測するために、それらをイオン化できるさらに短波長(高エネルギー)の真空紫外光を発生できるArジェットを媒体とした光源を現在開発中である。 上記の光源開発と平行して、水の同族置換分子である硫化水素のクラスターについて、本研究対象のモデル系として、振動分光研究を行った。硫化水素のイオン化エネルギーは、現有の真空紫外光源で発生できるエネルギーより小さい。そのため硫化水素は、現有の真空紫外光源を用いて本課題提案の手法の検証するのに最適である。硫化水素のクラスターおよび溶媒和クラスターの振動スペクトルの観測に成功し、硫化水素のプロトン供与性についての知見を得た。このように、本課題提案の研究手法の有効性を実証に成功した。 水クラスター表面で反応を起こす反応物分子の対象について、どのような分子が水との相互作用により反応を起こしやすいかについて、量子化学計算に基づく反応経路探索を行なっている。それにより現在分光実験をする対象分子の検討を続けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水クラスター表面で起こる反応を分光実験により解析するという本研究課題の目的に対し、必要な分光手法の確立、真空紫外光源等の装置を開発した。対象である水クラスターをイオン化するには、現有のキセノンを媒体とした真空紫外光源より短波長(高エネルギー)の光を発生できる真空紫外光源が必要になる。水銀蒸気を媒体とした真空紫外光源を開発した。水銀セルを用いた光源は、本研究課題に応用可能な状態である。本研究課題では、反応物および反応生成物を真空紫外光イオン化検出に基づくレーザー分光により、分光研究することを目的としている。それらの分光原理は、キセノンを媒体とした真空紫外光源を用いてであるが、すでに検証済みである。また対象とする反応物分子について、量子化学計算にもとづき、現在検討中である。 それら開発した手法、技術などの応用により、対象とする水和クラスターの光反応の分光研究を進めることができる段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
開発した光源を用いて、NOやCOなどの星間分子が付着した水クラスターの光反応について、質量分析およびレーザー分光研究を行う。それにより、本研究課題提案の研究手法の確立および、水表面の触媒作用の理解を目指す。 同時に放電によって生成されるプロトン付加水クラスターについても同様な光反応研究を試みる。宇宙空間にともに多く存在すると考えられる中性および正イオン(プロトン付加体)両方について、研究を進めていく。 さらに小サイズから大サイズの中性の水クラスターまたはプロトン付加水クラスターに対象を広げ、水の触媒作用のサイズ依存性や構造依存性などの理解を目指す。 上記研究により得られた結果は、学術雑誌や学会等で積極的に公表していく。
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